陸上のIAAF(国際陸連)ワールドチャレンジ第3戦「セイコーゴールデングランプリ陸上2016川崎」が8日、等々力陸上競技場で開催される。世界から集結するトップアスリートに挑む日本の6選手を紹介する。第4回は男子100メートルの桐生祥秀(20=東洋大)。

 4月2日、米テキサス州オースティン。スタートラインに立った桐生は、確信していた。「自分が勝てる」。同組に9秒台の自己記録を持つ3人のスプリンターにも動じない。スタートから飛び出し先行。終盤で差をつめられても「後ろ(の存在)を感じずに走れるようになった」。そのまま1着でフィニッシュした。向かい風1・4メートルで10秒24。風に恵まれなかったが、しっかりと勝負に勝った。

 この1本に桐生の成長が凝縮されている。13年に京都・洛南高3年で10秒01を記録したが、かつては相手と競った時に力みが出て、走りのバランスを崩しがちだった。国内では山県以外にめぼしいライバルがいないこともあり、接戦の経験が不足していた。今年3月には米国合宿を敢行。「気を抜けば、スタートで同じ大学生にもやられる」という環境で練習。心身ともに“弱点”を克服する兆しが見えてきた。東洋大の土江コーチも「競った時によくないというのはもうない。自信がついてきている」。

 桐生の目標はリオ五輪での決勝進出。日本初の9秒台は勝利を目指す過程で出るというスタンスだ。だから記録が出やすいとされる4月の織田記念国際(広島)を回避し、今大会に照準を合わせた。すべては昨年世界選手権銀のジャスティン・ガトリン(米国)と勝負するため。旧国立競技場最後の開催となった2年前の同大会で4メートル近く差をつけられた相手に成長した姿でぶつかる。【益田一弘】

<GP観戦ガイド>

◆日時 8日(日)午前9時開場、同10時サブイベント開始、正午競技開始

◆会場 等々力陸上競技場

◆入場料(当日券) A席=一般3000円、小中高校生2000円。B席=一般1000円、小中高校生500円。※各エリア内自由席。小学生未満無料。

◆大会HP http://goldengrandprix-japan.com