全日本実業団対抗女子駅伝は26日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。前回タスキ中継のミスで失格した豊田自動織機は、1500メートル中学記録保持者の福田有以(22)がこの1年でエースに成長。予選会のプリンセス駅伝を1位通過し勢いに乗っている。

 入社4年目の福田がいよいよエース区間の3区(10・9キロ)に登場する。「代表クラスの選手も出てくると思うので、区間5位以内に入れれば」と目標は控えめだが、福田のロングスパートは威力十分。先頭集団の競り合いに終盤まで加われば、トップで中継する可能性がある。

 プリンセス駅伝でも3区(10・7キロ)を走った。福田が駅伝の10キロ以上の距離に挑戦するのは初めてで、近くに選手がいない状況で走り始めたこともあり、序盤を抑えめに入ってしまった。「思い切って走れずに終わってしまいました」と、区間4位に無念の表情を見せた。その課題に練習で取り組み、速いスピードで入る自信をつけた。3年連続区間賞の高島由香(29=資生堂)に対しても「挑戦する気持ちで走りたい」と意欲を見せている。

 前回の失格は1、2区の中継所で起きた。2区の選手が、1区の福田が猛スピードで近づいていることに直前まで気づかず、慌てたためにラインを踏み越してタスキを受け取った。アクシデントの背景には、優勝に意識が行きすぎていたこともあったと長谷川重夫監督は分析。今季は目の前のレースを1つ1つ、確実に走ることを目標にやって来た。

 日本代表を狙う素材の福田も、10キロの距離は未知数の部分も大きい。長谷川監督が3位を目標に掲げるのは、福田に無理をさせない意味もある。

 だが、チームとして着実に取り組んできた成果が今季の福田の成長であり、プリンセス駅伝の1位通過だった。優勝候補に誤算が生じれば、ミスなく走ったチームが有利になる。豊田自動織機は地に足をつけて、確実にタスキをつなぐ。