あなたの街のプロゴルファー、タケ小山(52)がお届けする毎週火曜日の「タケ小山のゴルフ即効薬~今週の処方箋」今回は、「『お先に』をしないからうまくなれない!」


ゴルフは自分の「間」が大切


 「お先に!」の距離は人それぞれです。でも、当然「お先に」してもよさそうな距離なのに、わざわざマークしている人、いませんか? たぶん、これまで安易に「お先に」をして、外した経験があるから慎重になっているんだと思いますが、そんなことしているとますますパットが入らなくなりますよ。

 動いているボールを打つわけじゃないゴルフでは、自分の“間(ま)”が大切。でも、1人でプレーしているわけじゃないし、特にグリーン上では同伴競技者を待つ必要もあるし、自分の“間”をうまくつくらなくてはいけないわけです。待っている間に感覚は元に戻る。マークし直してアドレスするってことは、2度、その“間”をきちんと作らなきゃならない。でもタップイン(tap in)、「お先に」してしまえば、いい流れのまま続けて打てるから入る確率も上がるというものです。もちろん、ラインは順目でまっすぐ、さらに人のラインを踏んだりしないときだけという条件付きですが。


「お先に」をしないから入らない
「お先に」をしないから入らない

 「そんなこと言ったって安心できる『お先に』の距離なんてわからないよ~」という方も多いでしょうね。だったら、自分の視野範囲がどれくらいか確認してみましょう。これは動画を見ていただいたほうが分かりやすいとは思います。要は1度に視界に入る範囲ということなんですね。もちろん個人差があります。


必ず入る距離=自分の視野範囲を知る


 パッティングの時の視野範囲を知るには、ボールを真下においてアドレスした姿勢で顔の真下に両手をそろえる。ラグビーの五郎丸ポーズでも、忍者の印でもいいですが、そこから左手だけを真横に動かしてみてください。頭は動かさず、右手を見たまま。視界の左側でどこまで左手の人さし指が見えていますか? 見えている範囲イコールあなたの視野範囲ということになりますね。

 測ってみたところ、タケ小山の視野範囲は約90センチ。私が「お先に」をしていいのはこの距離なんです。視野範囲の中でまっすぐの順目なのに「入らない」という人は言語道断。これが入らないようでは難しいラインを入れようなんて無理な話です。明らかな練習不足。コースまで行かなくても、家にパターマットを置けばその距離のストレートラインなら練習できるでしょう? まずはそこでパッティングの再現性を高めて、コースに臨んでください。前回、お話しした芯で打つ練習ができれば、さらに精度が高まるのは言うまでもありません。


ボールを見つめてカップが視野に入る距離を覚える
ボールを見つめてカップが視野に入る距離を覚える

今週の処方箋

「仕事も宿題も嫌なことはとっととフィニッシュ!」

 【服用法】自分の視野範囲を知る時には決して頭を動かしてはダメ。だって、頭を動かして目で指を追っていったら、どこまでだって追えるでしょう? 視野範囲を知る時と同じように、ボールを追わず、芯でヒットすればパットの精度は上がるはず。自分のペースで打てる「お先に」をしていい距離を知ることが、パッティングの上達につながるのです。


 ◆タケ小山(こやま)本名・小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。


取材・構成 遠藤淳子(清流舎)

撮影 山崎安昭

協力 ザ・インペリアルCC(茨城県稲敷市)