台風接近によるコースコンディション不良で最終日の競技が中止となり、前日21日の第2ラウンドを終えて通算9アンダー133で単独首位だった時松隆光(24=筑紫ケ丘GC)の今季初優勝、ツアー通算2勝目が決まった。

 36ホールでの競技成立は73年のツアー制度施行後7大会目で11年フジサンケイ・クラシック以来6年ぶり。99年の日本ゴルフツアー機構発足以降では、初めて男女の競技が最終日にそろって中止となった。

 午前7時前、ホテルで中止の連絡を受けた時松は静かに喜びをかみしめた。「うれしかった気持ちが勝ちますけど(最終日を)やりたかったというのもありました」。少し複雑な思いはあるが、雨続きの難条件でマークした前日の「64」は間違いなく価値がある。

 本名は「源蔵」。仲間から「ゲンちゃん」と呼ばれ、愛される。トップ杯東海クラシックで2位だった1日夜、食事に出掛けると、1打差で敗れた小平智とバッタリ遭遇。少し酔っていた2人は、気付けば肩を組んでいた。「普段なら先輩に絶対そんなことできませんよね」と笑う。前週日本オープン終了後には、9月のANAオープンでプレーオフ(PO)の末に敗れた池田勇太の祝勝会にお呼ばれ。「お前のショットで火が付いたんだ」。PO1ホール目で50センチにつけたことを褒められ、うれしくなった。一緒に酒を飲みたくなる不思議な魅力を持つ24歳に今週は運も味方した。

 初の米ツアー出場となる来年8月ブリヂストン招待という大舞台の切符も手にした実感はまだない。「1勝目は運で2勝目が実力とよく言われますけど、僕は両方が運。72ホールをしっかりやって、3勝目を挙げて認められると思う」と謙虚に言った。【亀山泰宏】

 ◆時松隆光 ときまつ・りゅうこう。本名は源蔵(げんぞう)。1993年(平5)9月7日、福岡県生まれ。幼少期に心臓病で手術を受け「空気のいいところで体を動かしてほしい」という父慊蔵さんの思いから5歳でゴルフを始める。当時から一貫してベースボール・グリップ。福岡・沖学園高で11年九州アマ優勝。12年3月のプロ転向を機に、地元福岡の寺でもらった名前「隆光」を登録名に。168センチ、75キロ。

 ◆時松隆光の使用クラブ ▼1W=ミズノ MP タイプ2(シャフト=グラファイトデザイン ツアーAD MJ 硬さX、長さ45・5インチ、ロフト9・5度)▼3W=テーラーメイド M2(15度)▼5W=同(18度)▼UT=Aデザイン Aグラインド(21、24度)▼アイアン(5~PW)=ミズノ MP-66▼ウエッジ=フォーティーン RM22(52、58度)▼パター=オデッセイ プロタイプiX #1▼ボール=ブリヂストン ツアーBX