苦労を重ねてきたプロ8年目の香妻琴乃(26=サマンサタバサ)は、ツアー初優勝が決まった瞬間に感極まった。大混戦の優勝争い。最終18番で2メートル半のバーディーパットを沈めて、通算15アンダーとし、頭ひとつ抜け出した。

1打差で迫る最終組のアン・ソンジュがバーディーパットを外すまで、ホールアウトから50分待たされた。歓喜の瞬間は、プレーオフに備えていたパター練習場だった。優勝会見でも、うれし涙を流した。

以下、香妻と一問一答。

--今の率直な感想は

香妻 まだ実感がないです。18番で(バーディーパットを打つ際に)キャディーさん(松村卓)に「楽しく打とうね」と言ってもらった。それまで5ホールもバーディーがなくて、これが入っても、入らなくても、自分が思った通りに打とうという気持ちになれた。

--涙を流していたが

香妻 泣くつもりはなかったです。(優勝の瞬間に)キャディーさんが「ゴルフをやっていて、良かったね」と言われて…。ここ2年くらいはQTも悪くて、ゴルフが嫌いだった時があった。こういう日、優勝する日が来たのが、うれしかった。イ・ミニョンさんや、アン・ソンジュさんが、絶対にバーディーを取って、並ばれると思っていたので(プレーオフの)18番ホールを想定して、ずっとフックラインを練習していました。たぶん、プレーオフになったら、セカンド(第2打)はピンの右だと思っていたから。だから、ずっとフックラインを練習していたんです。

--1番苦しかった時期はいつ頃か

香妻 昨年のサードQTを落ちた時かな。もう試合に出られないし、スポンサーさんに申し訳なかった。次の1年は、レギュラーツアーに出れないから。このまま、どう過ごしていけばいいんだろう? そんなことを考えていました。試合に出られないのに、スポンサーさんについてもらっている意味があるのかな? とか。ただ、ただ、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

--どう気持ちを切り替えたのか

香妻 私の出る試合に、全部ついてきてくれるファンの方がいる。(下部ツアーの)ステップでも。どんなにスコアが悪くても、18ホールついてきてくれる人がいるんです。こんなに応援してくれるんだ、と。期待してもらっているんだから、早く優勝したいなと思っていました。

--ずっとお父さんも支えてくれていたが

香妻 1日でもいいスコアが出たら、喜んでくれる。23年間もゴルフをやっていて、たくさんお金がかかったと思いますし、大変なことだったと思う。少しは親孝行ができたかな。(悪い時には)「今年もQT受けて、また試合に出れるようにすればいい。気持ちを楽にすればいい」と、励ましてくれた。

--そんなお父さんと酒を飲んだりもしたのか

香妻 私は最近は、飲まないようにしていました。お父さんと飲むと、長くなるから。

--同じプロとして戦う弟(陣一朗)も喜んでいたか

香妻 (幼少時代から仲がいい出水田)大二郎が優勝した時に、悔しがっていた。私の優勝も、弟にとっては、いい影響になったと思う。でも、まだ私は1勝しただけ。メジャーの試合でも勝ちたいです。