タイガー・ウッズ(42=米国)が5年ぶりの復活優勝を飾った。2バーディー、3ボギーの71で回り、通算11アンダーの269で逃げ切った。

13年ブリヂストン招待以来となるツアー通算80勝目で、史上最多サム・スニード(米国)の82勝まであと2つと迫った。ポイントランク20位から狙った総合王者には及ばず、ジャスティン・ローズ(英国)が獲得した。

赤いシャツに黒いパンツ。おなじみの勝負服に身を包み、後続に3打差をつけて出た。1番で4メートルを沈めてバーディー発進。同じ最終組のロリー・マキロイ(英国)、1組前の世界ランク1位ジャスティン・ローズ(英国)らライバルたちがスコアを崩す中、静かにパーを並べてリードを広げていく。シーズン途中にスイッチしていたパターを2週前のBMW選手権でエースに戻すと、いきなり「62」で首位発進。今大会も1度も首位を譲らず逃げ切った。8月の全米プロ2位など何度も優勝争いに絡みながら、頂点にあと1歩届いていなかった。メジャー通算14勝のうち13勝を挙げ、ともに歴史を紡いできた栄光のスコッティキャメロンが、完全復活への最後のピースだった。

直近となる17年4月をはじめ、腰の手術を4度も経験。その度に新たなスイングにトライし、戦い続けてきた。過去2シーズンはほとんど試合に出ていない。昨年5月にはフロリダの路上でアルコールか薬物の影響下で車を運転した容疑で逮捕。ろれつが回らない状態で、本人は飲酒を否定し、処方された薬が影響したと釈明したが、保安官事務所が公表した写真にスーパースターの面影はなかった。

ままならない体とプレーに悩み、スキャンダルでファンを失望させかけたこともあった。復活を疑う声は決して少なくなかった。7月の全英オープンで6位となった時、18番グリーン脇でハグした2人の子どもたちへの思いも吐露していた。「僕がキャリアでどれだけ多くの試合を勝ってきたか(当時幼く記憶のない)あの子たちは知らないんだ。それに気付いてくれたことが特別だ。ずっと苦しんできたことしか知らなかったんだから」。父としての純粋な思いが、全てをはね返す原動力になった。