賞金ランク1位が待望の今季初優勝だ。今平周吾(26=フリー)が7バーディー、2ボギーの66で回り、通算16アンダーの268で昨年関西オープン以来となるツアー通算2勝目を逆転で飾った。前回は5月に婚約した若松菜々恵さん(22)がスポットでバッグを担いでの優勝だったため、専属の柏木一了氏(50)とのコンビでは初V。賞金ランクではただ1人1億円を突破して後続に約3350万円差をつけ、賞金王へ勢いを加速させる。

今平がついに勝った。15番でピンチが訪れた。ティーショットを林に打ち込み、第2打は横に出すだけ。何とか第3打を3メートルにつけたが、1打リードの川村はタップインバーディーを決めた。3メートルのパーパットをねじ込み「一番デカかった」。16番を取り、17番は先にバーディーとしてボギーの川村を逆転。18番も3連続バーディーで締めた。後半は12番以外全て1パット。驚異的な集中力だった。

「優勝って本当に難しい」。未勝利ながら賞金ランク1位を走り、練習ラウンドを一緒に回った尾崎将司、谷口徹らに「優勝しない賞金王はないだろ」と言われていた。前半からスイングのイメージを修正してスピードを意図的に上げ、後半に5つ伸ばした。「最後まで諦めなければ、いいことがある」とうなずいた。

喜ぶ本人の傍らでは、柏木キャディーが男泣き。昨年10月、中国の世界選手権シリーズでスタート時間を勘違いして失格になった。「日本に帰ったら絶対いろいろ言われる。周吾はそういうのを気にするタイプ」。バリカンを自らの頭に当てた。「責任を取って丸刈りにしたから、それで勘弁してくれ」と言って回った。キャディー間で選ばれる「ダメ・キャディー・オブ・ザ・イヤー」の称号も受け入れた。「苦しかった。冗談でも『キャディーを代えれば、勝てるんじゃないか』とか言われてきたから…」と気持ちがあふれた。

「残り6戦で1勝できれば賞金王も近づく。世界ランク50位に入ればマスターズに出られる」。柏木氏が「究極の負けず嫌い」と証言するシャイな26歳が、ターゲットを明確にした。【亀山泰宏】