競泳でリオデジャネイロ・パラリンピック出場を目指す逸材がいる。一ノ瀬メイ(18=近大)が女子50メートル自由形(運動機能障害S9クラス)を31秒48で制した。

 悔しそうに電光掲示板を見つめた。自身が持つ日本記録まで0・42秒と迫った。「この時期は練習量も多く、スピードが出にくいことを考えればまあまあでした。ただ、この記録で満足していたら成長しない」と気を引き締めた。

 英国人の父と日本人の母を持つ。生まれつき右肘から先がなく、1歳で水泳を始めた。英国に住んでいた9歳から本格的に競泳を始め、10年の広州アジアパラ大会には史上最年少の13歳で出場し、50メートル自由形(同)で銀メダルに輝いた。また、TOEIC875点を持ち、高校時代には「全国高校英語スピーチコンテスト」で優勝した。今春、入学した近大では1日1万メートル泳ぎ、筋力トレーニングの影響で高校時代より体重が4キロ増えた。

 既に、200メートル個人メドレーのリオ大会の参加標準記録は突破している。リオ大会でメダル争いに絡み、20年東京大会で「メダル獲得」を目標とする。一ノ瀬は言う。「体力や持久力など課題はたくさんある。体を強くしないと海外選手には勝てない。もっと、もっと強くなります」。競泳界の原石がさらなる飛躍を誓った。