女子バスケットボールWリーグのシャンソン化粧品の川村修社長(73)は7日、都内のスポーツ庁で鈴木大地長官(48)と面会し、先月29日のWリーグのリーグ戦で起きた“誤審問題”を説明するとともに今後の改善について要望した。

 シャンソン化粧品は、先月29日のWリーグ、デンソー戦(愛知・豊橋市総合体育館)で延長戦の末に59-61で敗れた。53-53の第4Q終了直前、ドリブルで切れ込んだG三好がファウルを受けてフリースローのチャンスを得たかに見えた。しかし、ファウルを告げる審判の笛より、第4Q終了を告げるブザーが先に鳴ったとしてフリースローは認められなかった。シャンソン側は、試合映像を見直して審判の笛は終了のブザーの前に鳴ったと確認し、翌30日に女子日本リーグ機構(WJBL)と日本バスケットボール協会に抗議文書を提出していた。

 川村社長によると、映像を確認した元背泳ぎ五輪金メダリストの鈴木長官は、コンマ1秒の世界で戦ってきた経験を持つだけに驚いていたという。映像や本紙静岡版の紙面も「証拠」として提出。スポーツ界のトップに個別案件でいきなりの「直訴」は異例だが、川村社長は「選手のためにやれることはすべてやってあげたかった」と説明した。抗議文を提出したリーグと日本協会からの報告待ちの状況ではあるが、居ても立ってもいられなかったという。

 シャンソン化粧品は、日本スポーツ仲裁機構(JSAA)への申し立てはもちろん、平育雄主審に対して民事訴訟も視野に入れているという。WJBLに対しては第4Qの終了0・6秒前のフリースローからの試合再開を求めていく。同様のことが起こらないよう、ビデオ判定の導入やホームで地元協会の審判員の禁止なども提言する。

 川村社長は「事実は1つ。とにかく公の場で、真実を証明したかったし、今後もしていく」と必死に戦っている選手のため、全力を尽くす意向を示した。

 ◆11月29日のシャンソン化粧品-デンソーの問題のシーンVTR シャンソン化粧品は第4Q終了3秒前に53-53と追いつかれた。その直後、三好がドリブルで切れ込みファウルを受けた。デンソーのチームファウルが5つを超えており、フリースローのチャンスだったが、審判の笛よりも終了のブザーが早く鳴ったと判断され、フリースローは認められなかった。チョン監督らが抗議したが延長戦に突入し、シャンソン化粧品は59-61で敗れた。翌30日付の日刊スポーツ静岡版ではファウルの瞬間の写真を掲載。電光掲示板の表示は残り0・6秒。シャンソン側は、これを「証拠」として女子日本リーグ機構に対して抗議文を提出した。