日本スポーツ振興センター(JSC)は26日、都内で新国立競技場に関する会見を行い、自民党が決議して遠藤利明五輪相に申し入れた「観客席への国産木材の使用」について聞かれ、池田貴城理事は「1490億円の上限に変わりはないが、内閣官房と話し合って決めたい」と検討課題としての認識を示した。遠藤氏も前向きに検討する姿勢を見せている。

 今季からJ1G大阪のホームとなる市立吹田サッカースタジアムの座席を担当した「コトブキシーティング」の広報担当によると、はね上げ式プラスチック製のいすは1機約6万円(定価)。木製にすると防腐処理の手間や加工技術などが難しくなるため約2倍の価格になるという。20年東京五輪時では6万8000席なので、木材にすると約40億円高くなる計算。耐用年数もプラスチック製は約10~20年、木製は約10年と短くなるという。

 しかし、「木材使用は単なる費用の問題ではない」と担当者は話す。杉などの針葉樹林の花粉対策や治水、森林環境を長く生かし続けるためには「間引きも必要」だという。「木を取り巻く環境を総合的に考えて、木材にするのかを決めていくのでは」と話した。