世界5位で第1シードの錦織圭(27=日清食品)が、まさかの1回戦敗退だ。同76位のトマス・ベルッシ(ブラジル)に4-6、3-6のストレートで敗れた。錦織の初戦敗退は15年全米でペア(フランス)に敗れて以来約1年半ぶり。500シリーズ以下の大会では13年6月のゲリーウエバーオープン以来、約3年8カ月ぶりの初戦敗退となった。次戦は、3月9日開幕のマスターズ大会BNPパリバ・オープン(米カリフォルニア州)の予定。

 昨夏の五輪で銅メダルを獲得した思い出の地リオデジャネイロで、錦織を悪夢が待っていた。相手は赤土で過去4度の優勝を誇るとはいえ、実力では間違いなく錦織が上。それが「この2、3年で一番ひどい試合だった。すべてがうまくいかなかった」と言うほどの完敗に終わった。

 準優勝だった先週のアルゼンチンから武器のリターンが機能しない。相手のサービスゲームを破れる自信がなく、自分のサービスゲームにプレッシャーがかかる。サービスゲームを落とせないという思いからミスを恐れ、思い切りが消える。その悪循環だ。

 第1セットは4-4の第9ゲームをブレークされて、ふがいなさが爆発。ラケットを赤土にたたきつけて折った。ラケットを投げたり、たたきつけようとしたことはあっても、折ったことはほとんどない。「(問題は)自分の調子にもメンタル的なことにもある。思い切りのいいプレーができる感覚が戻ってこなかった」と弱気な言葉を吐いた。

 4連覇していたメンフィスオープンへの出場をやめ、国別対抗戦デ杯の日本代表も辞退して挑んだ赤土の南米2連戦だった。3月のマスターズ大会2連戦がハードコートのため、この日程を選んだトップ10の選手は錦織だけ。5~6月の全仏オープンを見据えて、あえて厳しい挑戦に身を投じただけに「ショックはある。正解だったかは分からない」と肩を落とした。

 年間80試合ほど戦う中で1敗に一喜一憂はできない。12、13年、トップ10を目前として足踏みしたが、14年にトップ10入り。15年後半の勝ちきれないスランプも、16年に脱した。今は、トップ5入りを目指し、一皮むけるための壁なのかもしれない。「次に生かしていきたい」。この敗戦を必ず糧にする。

 ◆テニス男子ツアーの大会の格 4大大会を頂点に「1000(通称マスターズ)」「500」「250」の4シリーズに分かれる。数字は優勝して獲得できる世界ランクの得点で、4大大会の優勝は2000点。年間獲得ポイント上位8人が出場するATPツアー・ファイナルの優勝者は1500点を獲得できる。