涙をこらえ切れなかった。24日にフィンランドのラハティで行われたノルディックスキー世界選手権のジャンプ女子で、日本のエース高梨沙羅(20=クラレ)は3位にとどまり、この種目で日本勢初の金メダルを逃した。

 今季最大の目標としてきた2年に1度の舞台で世界一になれず「応援してくださる皆さんに、いいところを見せたかった」と声を詰まらせた。

 高梨は1回目の飛躍で2位。逆転を期して臨んだ2回目は飛距離が伸びず、着地後は落胆の表情を見せた。表彰式では気丈に振る舞ったが、テレビのインタビューを終えると目元を拭った。

 試合後は小学生の頃から慕う山田いずみコーチ(38)の胸で泣いた。ワールドカップ(W杯)で歴代最多に並ぶ通算53勝を挙げながら、大一番で力を出し切れなかった。来年の平昌冬季五輪へ「根本的なところから変えていかないといけない」と雪辱を誓った。

 高梨のライバル、伊藤有希(22=土屋ホーム)は2大会連続の銀メダル。悔しさをにじませつつ「目指していた試合で、メダルが取れたのはすごくうれしい」と白い歯も見せた。平昌でともに目指すのは表彰台の真ん中。山田コーチは「(日本にとって)大きい。メダルを取ったことをすごく評価したい」と2人の成長に期待した。