フィギュアスケートの男子ショートプログラム(SP)で宇野昌磨(19=中京大)が92・43点で2位につけた。練習での不調がそのまま響き、必須の連続ジャンプを入れられず。優勝候補ながら出遅れた。明日26日のフリーでは、03年本田武史以来3大会ぶりのアジア頂点を狙う。

 優勝候補の宇野がまさかの2位発進となった。冒頭の4回転フリップは何とか着氷。だが、続く4回転トーループで体が傾き、予定していた3回転トーループを付けられず。終盤の3回転半ジャンプは美しく決めたが、必須の連続技が抜ける痛いミスで、点数は伸びなかった。

 1週間前に韓国・江陵で行われた4大陸選手権で自身初の100点超えを達成したばかり。苦手なSPで手応えをつかんでいただけに「自分の中では、最初の4回転トーループも含め2つのミス」と自己評価は厳しかった。

 「経験がない」という2週連戦の過密日程。公式練習初日の23日には、フリー曲に合わせ、すべてのジャンプを決めたが、この日午前の練習と演技直前の6分間練習では何度もジャンプで転倒した。不安を感じながら「最初から最後まで頑張ろう。集中しよう」と自分に言い聞かせて臨んだが、体は正直だった。

 環境を失敗の言い訳にはしない。18年平昌五輪の会場で行われた4大陸選手権では、各選手が氷との相性を口にする中、唯一宇野は「硬いとか軟らかいとかわかりません…」。今まで滑りをリンクの状態に結びつけて考えたことはなかったからだった。この日も「この4日間で調整できなかった自分のミス」と、状況に対応できなかった自分を責めた。

 優勝候補だが、おごりの意識はない。「追う追われるではなく、自分に勝った人が勝つ」。首位の金博洋との差はわずか0・43点。「ミスを引きずらない」と明日26日のフリーで、アジアの頂点に立つ。【高場泉穂】