引退した浅田真央のフィギュアスケート人生を振り返る連載「浅田真央と○○」の最終回は、記録。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の成功率などさまざまな角度から「スケーター」浅田がフィギュア界に残した記録をまとめた。

 「え? 試合でですか?」。浅田が、その数に驚いた。シニアデビューした05-06年シーズンから試みたトリプルアクセルの数は89本。あらかじめ予想本数を聞くと「40回ぐらいですかね」。本人の記憶を超える多さだった。うち成功(◆注1)は38度、成功率は42・7%。リスクを冒してでも、初めて試合で成功した04年グランプリ(GP)ファイナルから16年末の全日本選手権まで12シーズンにわたり、挑戦。浅田、伊藤みどりら女子の成功者7人で最も長く跳び続けた。

 そして、その代名詞は質も高かった。

▽浅田のトリプルアクセルGOE(出来栄え点)5傑

(1)1・86点(15年GP中国杯、14年世界選手権、08年4大陸選手権)

(4)1・83点(08年ジャパン・オープン)

(5)1・71点(15年GPファイナル)

※すべてフリー

 現行採点ルールとなった04-05年以降に試合で決めたのは4人。うち3点満点のGOEの最高は、トゥクタミシェワの2・00点だが、浅田はこれに次ぐ精度で3度決めている。休養明けの15年中国杯での1本は、名伯楽佐藤信夫コーチをも「おお」とうならせた。その、強く、美しい武器とともに多くの大会を戦った。

▼浅田の逃げ切りと逆転

 ・SP首位からの逃げ切り勝利→19度(79・1%)

 ・逃げ切り失敗→5(20・8%)

 ・同2位以下からの逆転勝利→9(24・3%)

 ・逆転失敗→28(75・7%)

 ※SP、フリーのみの大会除く61戦対象

 SPで出遅れてからの優勝も9度と、負けず嫌いの姿勢も数字に表れる。

▼浅田の主要タイトル

 ・世界選手権3度(08、10、14年)

 ・4大陸選手権3度(08、10、13)

 ・GPファイナル4度(05、08、12、13)

 2度の五輪で金メダルには届かなかったが、競技人生を通じ、トリプルアクセルを跳び続けた浅田は、記録、記憶に残るアスリートとしてフィギュア史に刻まれる。【高場泉穂】(おわり)

(◆注1)トリプルアクセルの「成功」としたのは、着氷したジャンプから回転不足を除くもの