【パリ27日=木下淳】全仏オープンジュニアの本戦進出をかけた「全仏オープンジュニア ワイルドカード選手権 in partnership with LONGINES」の決勝が27日、パリ・ローランギャロスで行われた。

 日本男子は、世界ランク255位の白石光(17=東京・有明ジュニアテニスアカデミー)が出場。開催2回目にして日本男子初のファイナリストとなったが、インドのアビマンニュ・ヴァンナムレディに1-6、6-4、1-6で敗れて準優勝に終わり、6月4日開幕の全仏オープンジュニア本戦への出場は逃した。

 第1セットは「いつも入りが悪い」という課題が出た上、0-3の時点で「試合中では初めて」という鼻血が出て、試合が一時中断した。最高気温32度に達した会場で「たぶん軽い熱中症の影響」というアクシデントに見舞われると、そのまま第1セットを落とす。第2セットも一時2-4と劣勢だったが、そこから効果的なドロップショットやタイミングが合い始めたフォア、持ち味のフットワークで盛り返し、一気に4ゲームを連取して1-1とした。

 本来は、ここから粘り勝つのが持ち味。勝ち越したい第3セットだったが、再び鼻血が出てしまう。「次また出血したら試合を止めなければならない」。ドクターの診断に、今度は鼻に詰め物をしながらの戦いを強いられる。苦しい終盤に呼吸の自由も奪われると、前日の予選から3試合連続で突入しているフルセットで力尽きた。

 「気持ちは『頑張るぞ』って感じで落ちなかったんですけど、体が動かなくて…。試合中の鼻血で動揺もしたし、頭も痛かった。でも、基本的なショットの技術に関して相手の方が上でしたし、踏み込んでのフォアのミスはゼロ。コースもすごかった」。潔く負けを認め、聖地ローランギャロスを去った。

 本戦出場こそ果たせなかったが、本場の赤土を踏めた3試合の経験は大きい。「ローランギャロスの赤土は、よく球が弾むことが分かりました。いろんな国の代表とも戦ってみて、やり合えることも分かった。この舞台も最高の環境で楽しかった。ただ、やはり日本ではクレーで年1、2回しか練習できないので。反対に(決勝で敗れた相手国)インドはクレーばかりらしいし、日本に帰って、さらに練習しなければいけないと思った。とにかく、これからは世界で勝つための意識を持って練習したい」と向上心に火がつく大会になった。

 一方、女子は永田杏里(17=愛知・南山高)が優勝して本戦出場権を獲得。23日のフランス入りから行動をともにしてきた白石は「決勝で米国の選手に勝てたのはすごいと思うし、杏里なら本戦でもやり合えると思う。自分の分まで頑張ってほしい」。素直に喜んでエールを送るとともに、敗退した自身への発奮材料にもした。

 「全仏オープンジュニアワイルドカード選手権 in partnership with LONGINES」は、ランキングでは本戦に出場することができない世界の若手にチャンスを与え、才能を発掘する大会。今回は日本、韓国、中国、インド、米国、ブラジルの予選を勝ち抜いた男女6人ずつが参加した。白石は前日の1次リーグ第1試合で、米国のマイケル・ヘラー(17)に5-7、6-2、2-1(相手が左膝痛で棄権)で逆転勝ち。第2戦はブラジルのジョアォ・フェレイラ(16)と対戦し、2-6、7-6(タイブレーク7-5)、6-4で決勝に駒を進めていた。