デュエットFR決勝で、乾友紀子(26)中牧佳南(25=ともに井村シンクロク)組が93・1333点の4位に終わった。ウクライナにわずか0・1334点及ばず、中牧は悔し涙を流した。これで五輪種目デュエットは乾、中村組のTRに続いて2種目で表彰台を逃した。井村雅代ヘッドコーチ(HC、66)は、今後に向けて危機感を口にした。

 最終演技だった乾、中牧の顔が得点を見て、こわばった。井村HCも拍手を送る演技で力を出し切ったが、4位。中牧は「(TRに出場した中村)麻衣さんといい演技をしてメダルにつながるように、と話した。それができなくて悔しい」と泣いた。

 苦難の道だった。4月のジャパンオープン。中牧は音楽が頭に入らず大きく乱れた。井村HCは「集中力の欠如」と激怒し、5月28日に金沢での「水泳の日」に乾、中牧組で急きょ参加させた。「私が人前で泳がせてほしい、とお願いした」と井村HC。合宿中の大阪から3人だけで1泊2日の弾丸遠征。普及イベントだけに関係者は「合宿中なのに本番と同じ演技?」と絶句。家族連れでにぎわう日曜日に、鬼気迫る演技を見せた。

 中牧の祖母久子さん(76)は井村HCが小学校時代に憧れたシンクロの草分け的存在。孫は「私はよく練習した」という祖母の言葉を胸に急ピッチで仕上げたが、結果は伴わなかった。

 デュエット2種目を落とした。井村HCは「五輪は合計で順位を決める。1つだけでも勝とうと思った。2人はよく泳いだ。でも審判はヨーロッパ(開催)で勝たせる気ないな。でも勝たなきゃいけない。どうあるべきか、ゆっくり考えたい」と目を光らせた。【益田一弘】