住宅メーカーの木下工務店などを傘下に持つ木下グループは27日、卓球部の創部を発表し、約10億円をかけて川崎市内に完成した川崎練習場を公開した。同部には3月に所属契約を結んだリオ五輪男子シングルス銅メダルの水谷隼(28)や6月の世界選手権男子シングルス8強の張本智和(14)らが集結。抜群の環境の後押しを受け、20年東京五輪で日本卓球初の金メダル獲得に挑む。

 豪華な練習場が完成した。木下グループが運営する介護施設内には475平方メートルの卓球場のほか、トレーニング室、マッサージ室、サウナ付きの浴室などが完備された。トレーニング室にある疲労回復用の酸素カプセル(10人用)は約1500万円で特注。関係者によると練習場の総費用は約10億円にのぼったという。

 メインの卓球場には、国際経験豊富な卓球部主将の水谷の意見が取り入れられた。東京五輪、世界選手権などに使用される異なる4つのメーカーの卓球台が並び、国際大会基準の照明や床マットも備えられた。水谷は「世界で勝つための環境にしてもらった」と、豪華な施設に感謝した。

 この日は正式に卓球部も発足した。男子は14歳の張本ら世界選手権代表が5人そろった。日本代表合宿と変わらない環境での切磋琢磨(せっさたくま)が実力向上に直結することは間違いない。スポンサー契約を結ぶ張本は「ここで練習して、もっともっと強くなって、東京五輪で金メダルを取りたい」と、夢への後押しを励みにした。

 木下グループは10年前からフィギュアスケートの支援を開始した。その後はスノーボード、馬術、サーフィンなど競技の幅を広げ、3月には水谷と所属契約を結び、卓球界に参入していた。来秋には新リーグ「Tリーグ」が開幕する予定。木下直哉社長は「大物を取って、まだまだ盛り上げますよ」と、今後、ともに世界ランク1位の男子の馬龍(28)女子の丁寧(27=ともに中国)の獲得を目指すこともぶち上げた。

 豪華な練習施設と、ハイレベルの選手がそろった木下グループ。水谷は「ここのメンバーで東京五輪の代表になって、メダルを取る。それが今の夢です」と表情を引き締めた。結果で恩返しする決意は強い。【田口潤】