マクラーレン・ホンダはパワーユニットのトラブルに翻弄(ほんろう)され、ノーポイントに終わってしまった。
マシンとサーキットの相性から好結果が期待されていた米国GPだったが、まず日曜の朝にストフェル・バンドールン車のMGU-Hに問題の兆候が見つかり、安全を見越して交換を決めた。トラブルというよりは走行ダメージ蓄積による劣化の進み方が想定よりも早かったという。
「絶対に(決勝を)走り切れないかというのは微妙なところだったんですが、好結果が期待できる米国GPでは完走してポイントを狙いたかったので、リスクは冒したくないということで交換を決めました」(ホンダ・長谷川祐介F1総責任者)
これによりバンドールンは14番グリッドから最後尾に降格となり、レースでも浮上のきっかけがつかめないまま12位に終わった。
一方、8番グリッドからスタートしたフェルナンド・アロンソは好スタートで7位に浮上。ルノーのカルロス・サインツを抑えながらポジションを守り入賞は間違いない展開だったが、MGU-Hの冷却水圧が低下し、それを検知した制御コンピューターが自動的にMGU-Hの作動を止め、リタイアを余儀なくされた。
「ストレートでパワーを失って、リアから少しバイブレーションを感じたんだ。僕らとしてはアメイジングなパフォーマンスを発揮することができたと思う。予選のアタックラップもすごく良かったしトップ10に入って、好スタートを決めて、特に何の幸運もなかったのに自力で7位を走っていたわけだから7番目の速さがあったと思うし、今日はポイントに値するはずだったのにね。残念だよ」(アロンソ)
長谷川総責任者は、アロンソ車のトラブルについて深刻さをにじませながら次のように説明した。
「シーズン前半のバーレーンなどで起きた問題に似ていましたが、原因はまだ分かりません。ペースは良かったので普通に行けば7位、うまく行けば6位になれたんじゃないかと思います。信頼性のせいでポイントを逃したと思いますし、極めて残念です」
バンドールン車については走行距離によるダメージ蓄積、アロンソ車については使用されている部品ロットの品質問題が原因と推測されるというが、パワーユニットとしての基本的な信頼性不足は否めない。
パワーユニット起因によるリタイアはイタリアGP以来4戦ぶり。夏休み明けのスペック3.7以降は信頼性向上の手応えがあっただけに、ホンダにも激震が走っている。(米家峰起通信員)