茶道からヒントを得ろ!! 柔道男子日本代表が18日、都内の遠州茶道宗家で茶道稽古に初挑戦した。メンタルトレーニングの一環で、選手はお辞儀の仕方や茶の器の持ち方など一連の作法を習得。講習には遠州流師範のルー大柴こと大柴宗徹さん(64)も参加し、選手からは驚きの声も上がった。

 ジャージー姿の筋骨隆々の選手15人が茶道と“真剣勝負”した。約1時間、茶室で小堀宗翔さん指導のもと悪戦苦闘しながら一連の所作を学んだ。お茶を頂く際は隣の人に「お先に」と軽くお辞儀し、飲み終わったら「おいしゅうございました」と日本の伝統文化の奥深さに触れた。男子の井上康生監督は「茶道は柔道と同じ『道を究める』。世界と戦う上で日本文化を知ることは重要。結びつくものを感じ、逆の世界を知ることで何か得られるはず」と期待を寄せた。

 茶道教室は精神集中と高いモチベーション維持などを目的に強化スタッフが発案。昨年は陶芸教室で2年連続の「和稽古」となった。ラクロスの13年ワールドカップに日本代表として出場した小堀さんは「『静と動の気持ち』が大切」と心構えを伝えた。柔道の「動」と茶道の「静」を組み合わせることで一層の成長を促すという。90キロ級向翔一郎(ALSOK)から「落ち着かない性格でどうしたら良いですか?」と質問が飛ぶと「五感に集中してください」とアドバイスを送った。

 サプライズもあった。アシスタントで茶道歴14年の大柴宗徹さんが参加。選手からは「ルー大柴だよな!?」「本物?」と驚きの声も上がった。教室終了後には「トゥギャザーしようぜ!!」と選手と記念撮影に応じた。

 世界選手権(9月、アゼルバイジャン)代表の66キロ級阿部一二三(日体大)は「試合でも落ち着いている時が一番自分の柔道が出来る。この経験を柔道のヒントにしたい」と、2連覇に向けて手応えをつかんでいた。【峯岸佑樹】