世界ランク49位の日本が、同25位のイランを70-56で倒し、東京オリンピック(五輪)予選を兼ねた19年ワールドカップ(W杯)中国大会出場へ前進した。ともに米国で活躍する渡辺雄太(23=メンフィス・グリズリーズ)と八村塁(20=米ゴンザガ大)の黄金コンビが初めてそろって日本でプレー。八村はチーム最多25得点、渡辺は18得点を挙げ、逆転勝ちへけん引した。

渡辺、八村の黄金コンビが44年ぶりの五輪出場につながる大きな1勝をもたらした。4点を追って折り返した第3クオーター出だしに八村、渡辺が続けて得点し、逆転。タフな守備で相手を消耗させて、一気に巻き返し、最後は70-56と大差をつけた。13日の敵地カザフスタン戦に続く、連勝。チーム最多25得点の八村は「日本一丸での勝利」と喜びをかみしめた。

八村は外角シュート、豪快なダンクと多彩な攻めで得点を重ねた。米国の強豪大でプレーしており、これまで代表に呼ばれなかったが、5月に満を持して代表候補入り。6月の1次予選オーストラリア戦で24得点と活躍し、大金星に貢献。4連敗中で崖っぷちだった日本の救世主となった。そのオーストラリア戦と同じぐらい「楽しかった」と八村。ホームの大声援を力にいきいきとプレーした。

同じく米国を拠点とする渡辺にとってこれが2年ぶりの凱旋(がいせん)。米国とは違うボールを滞在する部屋の中でも、移動中も手にしながら「ワクワクして」この日を迎えた。18得点を挙げながら、試合後には「活躍できなくてすみません」とファンに謝った。「シュートタッチが悪かった」と本調子でなかった分、相手のエース、ヤハチャリを徹底マークし、守備で貢献した。

これでF組4位をキープ。3位以内なら無条件で出場できるW杯へ前進した。来年2月まで残る4戦。米国拠点の渡辺は今後参戦できるか未定だが「僕がいなくても勝てる力がある」と今の日本の強さを実感していた。【高場泉穂】

◆八村塁(はちむら・るい)1998年(平10)2月8日、富山市生まれ。奥田中からバスケを始め、宮城・明成高では入学直後から主力となり、全国高校選手権3連覇。16年から米国の強豪ゴンザガ大。18年6月、韓国との強化試合で代表デビュー。203センチ。

◆渡辺雄太(わたなべ・ゆうた)1994年(平6)10月13日、香川県三木町生まれ。小1でバスケを始め尽誠学園高時代、全国高校選手権で2年連続準優勝。高2時に高校生として初めて日本代表。卒業後米国に渡りNCAA1部ジョージ・ワシントン大。7月にNBAグリズリーズと下部リーグに所属しながら一定期間出場できる「ツーウエー契約」を結んだ。206センチ。

◆バスケW杯予選方式 W杯アジア2次予選は12チームが2組に分かれホームアンドアウェーで対戦。F組で世界ランキング49位の日本は、同10位オーストラリア、同30位フィリピンとは1次予選対戦成績を持ち越し、2次予選では25位イラン、61位カタール、68位カザフスタンと対戦。各組上位3チームと各組4位チームの上位、計7チームがW杯出場権を手にする。