世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)が、日本女子として00年杉山愛以来19年ぶりの全豪ベスト8に進出だ。

同12位のアナスタシヤ・セバストワ(ラトビア)に4-6、6-3、6-4で逆転勝ちし、23日に予定されている準々決勝では、同7位のスビトリナ(ウクライナ)と対戦する。ベスト4に進出すれば、男女を通じて日本最高位の3位が確定。準々決勝でクビトバ、プリスコバ(ともにチェコ)が敗れた時点で、大坂の世界1位が決まる。

暴れて、騒いで、こぶしを突き上げ、粘って、最後は打ち抜いた。まさに大坂劇場。ミスが出ようが、相手に決められようが主役は譲らない。19年ぶりの日本女子8強入りに「本当にうれしい。それに少しほっとした」と、両手を突き上げ、珍しく感情をあらわにした。

ピンチの度にサービスエースをぶちかまし、信じられないようなスーパーボレーも決めた。腹が立ったときのお決まりのラケット投げは何度もあったが、心は折れていなかった。前哨戦のブリスベン国際準々決勝でも逆転した相手だ。「その時の経験が生きた。昨年より自分を信じている」。

3回戦、4回戦と、大坂にとっては苦手なタイプとの対戦だった。ただ、3回戦の謝が直線的な無回転球を武器にするのと違い、この日のセバストワは緩い球を使い、大坂のミスを誘った。ミスの度に、ラケットが舞った。打ち急ぎ「第1セットは打ちすぎた」と反省した。

しかし、「冷静になった」第2セットは、ミスを減らすことを心がけた。「やり過ぎはいけない。自分ができる範囲の中でプレーしよう」。第1セットで17本あった凡ミスを、9本に減らし、決定打は11本から18本に上積みし、流れを取り戻した。

前日の夜に、男子シングルス4回戦で、20歳のシチパスが37歳のフェデラーを破った試合を見た。「若い選手が頑張っているのを見て、インスパイアされた」。全米女王が、いくら苦手な相手とはいえ、ここで負けるわけにはいかない。

第1セットを奪うと、ツアー本戦や女子国別対抗戦フェド杯を含めて、61連勝中。勝率は9割以上だ。しかし、第1セットを失うと、勝率は約2割に激減する。その数字にあらがうように、3、4回戦が2戦連続で逆転勝ち。ツアー本戦では、自身初の頑張りだ。

次戦は、また対戦成績2勝3敗と苦手とするスビトリナ(ウクライナ)が相手だ。優勝すれば、日本選手の誰もが成し遂げられなかったシングルスの世界1位が確定する。「それが大きな目標」。もう誰も怖くはない。【吉松忠弘】

◆大坂の2戦連続逆転試合 世界ランキングのポイントがかかるツアーとツアー下部大会の本戦、予選。そして女子国別対抗戦フェド杯の試合を合わせ、過去、大坂が2試合連続で逆転勝ちを収めたのは過去5回。最も古いのは、13年4月のツアー下部米ジャクソン大会の予選1、2回戦だ。16年11月のツアー下部ホワヒン大会では、1回戦から準決勝まですべて逆転勝ちという4試合連続がある。しかし、ツアー本戦では2戦連続の逆転勝ちは1度もない。