ノルディックスキー・ジャンプ女子で来年のソチ五輪金メダル候補の高梨沙羅(16=クラレ)が27日、秘密兵器を手に入れた。今季からスキー板のメーカー「エラン」(本社・スロベニア)と日本人で初めて専属契約を結び、「沙羅仕様」のスキー板が届いた。今日28日、全日本スキー連盟の男女合同合宿でお披露目される。

 輝くメダルへまたひとつ大きな力を得た。昨季まではあくまで提携選手でしかなかったが、W杯個人総合を制し、2月の世界選手権では日本人最年少となる団体で金、個人で銀メダルを獲得。ソチ五輪での主役に躍り出たことで、世界的メーカーである同社から全面的にバックアップを受けることになった。同社が専属契約するのは、ジャンプ選手では世界でも今季は高梨のみ。これは欧州主流のジャンプ界にあって異例中の異例で、世界が「SARA」を正式に認めた証拠だ。

 最新モデルは、白に黄緑のラインが入り、紫で「SARA」と刻まれている。昨季までのモデルからさらに軽量化され、空中での操作性が高まっている。何度も本人と意見交換がされた後、実際に16日から渡欧し、スロベニア、オーストリアで1週間、テストジャンプを敢行。テストではスロベニアの男子選手と同じゲートから飛び、K点越えを連発するなど、秘密兵器に手応えをつかんだ。

 今季の初戦は7月14日のサマージャンプ朝日町大会(北海道・朝日町)になる予定。雪の女王が、金メダル獲得へ着々と足元を固めていく。