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[English]
くちづけのいづこも汗の匂ひかな
一日を歩き終えた巡礼者たちは、抱き合ってあちこちにキスをし、到着を喜び合います。一日中炎天下を歩き続けた巡礼者はみんな全身汗まみれ。キスをする場所の
どこからも汗の匂いが漂ってきます。
だけど、その汗の匂いは、苦しく厳しい道程を歩きとおし、無事に乗り越えた証。他の人には臭いかもしれない汗の匂いも、巡礼者にとっては勲章なのです。
[季語] 汗
[季節] 夏
向日葵や隣り合はせに衣を干し
巡礼宿に着くと巡礼者はまずシャワーを浴び、洗濯をするのが日課のようになっています。男性も女性も、Tシャツから下着まで何もかもを同じ場所に干すのですが、恥ずかしさというのはほとんどありません。むしろ、この先もう二度と会うことはないかもしれない巡礼者たちと隣り合わせに洗濯物を干しているという不思議な縁を感じるばかり。
まるでスペインの強い日差し下、たくましく咲く向日葵(ひまわり)のように、明るく健康的な関係。それは、巡礼という同じ目的をもった者同士だからなのでしょう。
[季語] 向日葵
[季節] 夏
アマポーラ西班牙の日は矢のごとし
“スペインの日差しは痛みを伴う”と言われますが、まさに矢が突き刺さってくるような、ヒリヒリと焼けつくような暑さです。そんな強烈な日差しを受けて真っ赤に咲くアマポーラの花。
スペインでは、すべての色彩がとても鮮やかです。空は真っ青で、緑は濃く、アマポーラは血のような赤さ。矢のような日差しが育てたからこそ、スペインの自然はあのような濃く鮮やかな色彩になるのかもしれません。
闘牛、フラメンコ、恋、自然……スペインはやはり、あらゆるものが“情熱の国”なのだという気がしました。
[季語] アマポーラ
[季節] 夏
炎天に免れがたくクルス立つ
サンチャゴ巡礼道沿いには、あちらこちらにクルス(十字架)が立っています。それらは、志半ばで息絶えた巡礼者のお墓であることも少なくありませんでした。
サンチャゴへと進むことも、故郷へ帰ることもできず、スペインの灼熱の太陽の下から逃れる術もなく、ただ黒い影を曳いて立つばかりのクルス。それは、命をかけた巡礼の厳しさを、そして、人の力ではどうしようもない運命のようなものを象徴しているかのようでした。
[季語] 炎天
[季節] 夏
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