黛まどか「17文字の詩」タイトルカット



[English]

指させばたちまち消ゆる冬の虹

 冬の虹はとても淡く、気付いたときには消える寸前だったりするものです。指差しながら人に教えている間に消えていった冬の虹。後には、あまりにもはかない冬の虹の美しさが印象に残っているだけです。

 恋や夢なども、まるで冬の虹のように、見つけたと思った途端にはかなく消えてゆくことがあります。しかし、それゆえに尊く、より美しく心に残るのかもしれません。

[季語] 冬の虹
[季節] 冬


冬銀河逢ひたいときは逢へないとき

 少し事情のある恋をしていると、クリスマスや休日など、特に一緒に過ごしたいときほど逢うことができないものです。

 逢えない淋しさに、ふと仰いだ冬銀河。美しすぎるほどの冬銀河が、今は逢えない恋人への想いをなおさら募らせるのです。

[季語] 冬銀河
[季節] 冬


旅人に道蹤いてゆく帰り花

 遠ざかってゆく旅人の後ろ姿。その後に、次第に伸びてゆくように残ってゆく一筋の道。その様子はまるで、旅人が道を従えているようにも見えます。

 旅人が過ぎ去った後、一輪の帰り花が咲いていました。「帰り花」とは、小春日和のころ、本来とは季節を違えて咲いた花のことです。寂寞とした冬の景に、ひっそりと、しかし力強く咲いた帰り花。それは、今過ぎ去った旅人が咲かせていったかのようにも思えるのです。

[季語] 帰り花
[季節] 冬


初日記恋といふ字の多かりし

 人に自分の恋の話をするのは、少し恥じらいがあるものです。あるいは、誰にも話せない秘密の恋をしているのかもしれません。せめて日記の上では、誰の目もはばかることなく、恋のことを打ち明けたいもの。

 年が明け、初めて綴る日記。その1ページ目も、恋する人への想いで溢れんばかりでした。

[季語] 初日記
[季節] 新年




Main PageBacknumber Menu