黛まどか「17文字の詩」タイトルカット



[English]

青空は神のてのひら揚ひばり

 高い高い春の空へと舞い上がっていく揚ひばり。その様子は、青空に吸い込まれていくよう。まるで、そこには神様がいて、神の手のひらに抱かれにいくようにも思えました。

 なぜあんなに高いところまで舞い上がっていくのだろう……そう考えたとき、やはりそこには神様がいるのではないか、そんな気がしてなりませんでした。

[季語] 揚ひばり
[季節] 春


巡礼の靴逃げ水を追ひつづけ

「逃げ水」とは、道路や草原の彼方に黒い水たまりがあるように見える蜃気楼の一種。巡礼道の途上では逃げ水を見ることがしばしばありました。

 追いかけても追いかけても捕まえられない夢のような逃げ水。それは、歩いても歩いてもたどり着かない巡礼の果てのようにも思えたものです。

[季語] 逃げ水
[季節] 春


杖の音のすみれの花に来て止まる

 巡礼者にとって杖は必需品。サンチャゴ巡礼の間も、杖の音で巡礼者が近付いてきていると気付くことがしばしばありました。

 ある時、ずっと背中に聞いていた杖の音がぱたりと止まりました。その巡礼者を立ち止まらせたのは、水飲み場でも休憩所でもなく、道端に咲いたほんの小さなすみれの花だったのです。

 目的に向かってひたすら歩き続ける巡礼者もいれば、小さなすみれに足を止めながらゆっくり歩く巡礼者もいます。しかし、どんな巡礼者にとっても、鳥のさえずりが、小さな草花たちが、苦しい巡礼途上の慰めとなっていたことは間違いありません。

[季語] すみれの花
[季節] 春




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