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[English]
声嗄れて補欠選手の夏終る (こえかれてほけつせんしゅのなつおわる)
甲子園大会をはじめ、夏には数々のスポーツ大会が行なわれます。その中には、一度も試合に出ることなく、大会を終えていく補欠選手たちもたくさんいます。しかし、試合には出られなかったとしても、声を嗄らすほど懸命に声援を送り続けたことで自分なりにベストを尽くした夏だったのでしょう。この嗄れた声が彼らにとっては勲章なのです。
熱く、切ない補欠選手たちの夏。華やかな表舞台の陰にも精一杯戦っている選手たちがいることを忘れたくないものです。
[季語] 夏終る
[季節] 夏
くちづけをして向日葵に背かるる (くちづけをしてひまわりにそむかるる)
向日葵畑で恋人とくちづけをしました。向日葵はその名のとおり、太陽に向かって咲きます。そんな向日葵の花陰で、向日葵の花からわざと隠れるように交わしたくちづけだったのですが、ふと我に返ると、まるでどの花も私たちに背を向けているよう。そんなふうに感じたのは、くちづけの気恥ずかしさからだったのかもしれませんが……。
[季語] 向日葵
[季節] 夏
大文字消えて戻りし星の位置 (だいもんじきえてもどりしほしのいち)
「大文字」とは毎年8月16日に行なわれる盂蘭盆会の精霊送りの行事で、特に京都の如意ヶ岳(にょいがたけ)に焚かれる大文字の送り火は全国的に有名です。
華やかで賑やかな大文字が終わった夜空に、星が輝いていることに気づきました。大文字に気持ちが集中していた間は、まるで星そのものがどこかへ行ってしまっていたかのようにその存在を忘れていたのです。大文字の送り火が消え、空に戻ってきたかのような星。その輝きは、今見送った御霊たちのようでもあります。
[季語] 大文字
[季節] 秋
岸蹴つてボート押し出す原爆忌 (きしけってぼーとおしだすげんばくき)
8月6日、9日は広島、長崎に原爆が投下された日。俳句ではこの日を「原爆忌」と呼び、もう二度とこのような惨事が起こらないよう祈念しています。
海へ、山へとレジャーシーズンの8月。しかし、楽しく遊んでいる時でも、ふとしたきっかけで原爆忌や終戦日のことを思い出す瞬間があります。このときも、ボート遊びをしようと力いっぱい岸を蹴った瞬間、ふっと今日が原爆忌であることが頭をよぎりました。
現在がどれほど幸福で楽しくても、決して忘れてはいけない日があるのです。
[季語] ボート、原爆忌
[季節] 夏
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