黛まどか「17文字の詩」タイトルカット



[English]

嘘ついてミュールの素足組み替へて
(うそついてみゅーるのすあしくみかえて)

 嘘をつくときはどこか落ち着きがなくなり、ちょっとした仕草に現れてしまうものです。

 ミュールとはかかと部分がないつっかけ型のサンダルのこと。素足にミュールというスタイルが、最近の若い女の子たちの定番ファッションとなっています。

 素足にミュールをつっかけたその少女も、一見、嘘をつくことなど平気そうに見えるのですが、やはり罪悪感があるのでしょう。ミュールの素足を組み替えた仕草に嘘が現れていました。

[季語] 夏初
[季節] 夏


参道をバイクで抜けて夏初
(さんどうをばいくでぬけてはつはじめ)

 バイクに乗った若者たちが、爆音を立てながら青葉若葉の参道を走り抜けて行きま した。

 参道というのは神の社へ続く道。本来ならうやうやしく通らなければいけないもの ですが、バイクに夢中の彼らにとっては参道もただの道。思うがままにバイクで駆け 抜けていき、彼らの夏が始まっていきます。

[季語] 夏初
[季節] 夏


バードウイークバンダナに髪包み
(ばーどういーくばんだなにかみつつみ)

 バンダナの使い方も今では様々。スカーフのように首に巻いたり、洋服のアクセントにしたり、若者たちはそれぞれ自由にバンダナのお洒落を楽しんでいます。

 中でも最近は、バンダナで髪を包み、渋谷や新宿を歩いている若者の姿をよく見かけます。都会に遊ぶ若者たちのファッションの一つですが、それがバードウイークであれば不思議と、自然やアウトドアライフを愛する健康的な印象さえ感じるものです。

[季語] バードウイーク
[季節] 夏


夏来るらし貝がらのストラップ
(なつきたるらしかいがらのすとらっぷ)

 今、携帯電話のストラップは多種多様。季節や気分に合わせて付け替えるのがひと つのファッションになっています。あるとき、若者たちの携帯電話に貝がらのスト ラップが付けられているのを目にし、夏が来たことを感じました。

 「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山」(持統天皇)という和歌も あるように、かつては青葉若葉の中に干された真っ白な衣に夏の訪れを感じたようで すが、今は携帯電話のストラップとは……。時代もずいぶん変わったものです。

[季語] 夏来る
[季節] 夏




Main PageBacknumber Menu