黛まどか「17文字の詩」タイトルカット



[English]

薫風の高きに結び恋みくじ
(くんぷうのたかきにむすびこいみくじ)

 風薫る季節に恋みくじを引きました。良いことは叶いますように、悪いことは難を逃れますように、心からの願いを込め、できるだけ高い場所に結びました。

 高い高い場所に結ばれたおみくじには、結ぶに苦労する分、よほどの願いが込められているように感じます。

 もうすぐ本格的な夏、恋の季節が訪れます。清々しく軽やかに吹き抜けてゆく薫風が、どうか素敵な恋を成就させてくれますように……。

[季語] 薫風
[季節] 夏


緑陰や父が子守の乳母車
(りょくいんやちちがこもりのうばぐるま)

 ある週末に見かけた若いご夫婦です。お母さんが一人で買い物へでも行ってしまったのでしょう。涼しい緑陰に残されたお父さんと乳母車。ときどき乳母車を揺らして子供をあやしながら、お母さんが戻ってくるのを待っているようです。

 最近では、仕事が休みの週末には、母親に代わって子守りをしている若いお父さんの姿をよく見かけるようになりました。子守りに不慣れのようで、少しぎこちなくもありますが、そんなお父さんの姿はとても微笑ましいものです。

[季語] 緑陰
[季節] 夏


母の日の母のやうなる風の中
(ははのひのははのようなるかぜのなか)

 5月の第2日曜日は「母の日」。この頃の風は、暑くもなく、冷たくもなく、人にとってもっとも心地よく感じるようなとても優しいものです。

 あたたかでふくよかな母の日の風に吹かれていると、まるで母の胎内にいるような、母の大きな胸に包まれ、守られているような、穏やかで心安らいでいる自分がいます。

[季語] 母の日
[季節] 夏


葉桜や弾ませて嬰を抱き上ぐる
(はざくらやはずませてこをだきあぐる)

 まだ小さな赤ちゃんを抱き上げるときには、鞠を弾ませるようにポンと弾みをつけて抱き上げるものです。ふわりと宙を飛ぶような感覚が楽しいのか、赤ちゃんもキャッキャと大はしゃぎ。

 清々しい葉桜の季節になると、子供と一緒に外で過ごす家族の姿を頻繁に見かけるようになります。

 瑞々しく緑美しい葉桜が、これから健やかに、たくましく成長していく子供たちの生命力を象徴しているようです。

[季語] 葉桜
[季節] 夏




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