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[English]
湖を手鏡にして山粧ふ (みずうみをてかがみにしてやまよそおう)
美しい紅葉に彩られた山々の姿を、季語では「山粧ふ」と呼びます。山懐に抱いた
湖に美しく彩った姿を映した山々。それはまるで、湖を自らの手鏡として山々が粧っ
ているようにも見えました。
[季語] 山粧ふ
[季節] 秋
水あれば水にこぼれて萩の花 (みずあればみずにこぼれてはぎのはな)
紅紫色や白の小さく可憐な花をたくさんつけ、ほろほろとこぼれるように散ってゆく萩の花。その下に川があれば川の上へ、海があれば海の上へ……。それが、たとえ流されてゆくだけのさだめでも、大きな自然の流れに身をゆだね、抗うことなく素直に受け入れている萩の花。小さな花でありながら、その姿には自然の流れの中で生きる強さと美しさを感じます。
[季語] 萩の花
[季節] 秋
漁火のいつか相寄る十三夜 (いさりびのいつかあいよるじゅうさんや)
陰暦9月13日の夜を日本では「十三夜」と呼び、満月に少し満たないこの夜の月を
愛でる風習があります。
華やかな仲秋の満月を上げた十五夜とは趣を異にし、どこか物寂しさの漂う十三
夜。その夜、沖に揺れる漁火がいつしか互いに近づき、寄り合っているように見えた
のも、十三夜の物寂しさのせいかもしれません。
[季語] 十三夜
[季節] 秋
一輪となり秋薔薇よく匂ふ (いちりんとなりあきそうびよくにおう)
秋に花をつける薔薇は、花そのものの美しさや華やかさの一方で、品種や花数も少なく、どこか寂しげなものです。
他の花が次々と散ってゆき、ついに一輪となってしまった秋の薔薇。しかし、澄んだ秋気の中に放たれたその香は、かえって強く鮮やかにも感じました。たとえ一輪となっても薔薇としての誇りを失わず、気高く香り続ける秋の薔薇。あるいは、散っていった他の薔薇たちの分までも自らが香を放とうとしていたのかもしれません。
[季語] 秋の薔薇
[季節] 秋
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