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[English]
さよならを言ひかねてゐるあきつかな (さよならをいいかねているあきつかな)
「あきつ」とはとんぼのこと。
心では別れを決めていりはずなのに、面と向かうとどうしても言い出せない「さようなら」の言葉……。"今日こそは、今日こそは…"と思いながら、やはり今日も別れを切り出せない私の傍らを、スイースイーとあきつ(とんぼ)の群れが飛び交ってゆくのです。
[季語] あきつ(とんぼ)
[季節] 秋
まへがきもあとがきもなし曼珠沙華 (まえがきもあとがきもなしまんじゅしゃげ)
曼珠沙華という花は、ある日気がつくと、それまで何もなかったような畦道や空き地に突然真っ赤な花を咲かせ、花が終わるとまた何もなかったように土に返っていくような印象があります。唐突に現れ、唐突に消えてゆく曼珠沙華。その様子は、前書きもあとがきもない小説のように思えるのです。
[季語] 曼珠沙華
[季節] 秋
夕暮の何にたたずむ秋日傘 (ゆうぐれのなににたたずむあきひがさ)
人々が家路を急ぐ夕暮れ時、誰かを待っているのか、それとも別れを告げた後なのか、あるいは何かを眺めているのか、物思いをしているのか…一人ぼんやりと佇んだままの秋日傘の女性。
真夏日の頃とは違い、徐々に使われなくなってゆく秋の日傘。少し疲れの残る秋日傘を差したまま黄昏に佇む女性の姿に、秋という季節の物寂しさがふと胸をよぎりました。
[季語] 秋日傘
[季節] 秋
すれ違ひざまの会釈も九月かな (すれちがいざまのえしゃくもくがつかな)
九月が始まりました。暑さは峠を越し、風には時折ほっとするような涼気が感じられます。また九月は、海へ山へとレジャーを楽しんだ日々は終わり、新たな気持ちで仕事や学業に取り組む月です。
そんな九月のある日、すれ違いざまに交わした会釈。さりげない挨拶の中にも、爽やかな季節が訪れた喜び、そして、新たな季節への期待感や意気込みが感じられるようでした。
[季語] 九月
[季節] 秋
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