黛まどか「17文字の詩」タイトルカット



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八月六日夕べの風となりにけり

 8月6日とは、言うまでもなく「原爆の日」です。1945年のこの日、広島に世界で初めて原子爆弾が投下され、数多くの尊い命が奪われました。私たちはこの日、55年前の大惨事を振り返り、このようなことが二度と繰り返されないよう、平和を祈念するのです。

 8月6日といえば、暦はすでに秋を目前にしているものの、日中はまだ強く厳しい日差しがギラギラと照りつけているものです。毎年、耐え難い猛暑の中で原爆の日をしのぶのですが、どれほど猛暑の一日でも、時がたてば必ず夕べは訪れ、涼やかな風が立ち、ほっとするひとときがやってきます。

 どれほどの苦しみや悲しみの中にあっても、必ずいつしか人々をいたわるように、そして一筋の希望のように、夕べの涼風は吹くもの。この55年の月日も、そんな日々の積み重ねによって過ぎていったのかもしれません。

[季語] 八月六日
[季節] 夏


帰省子を待つ地球儀とギターかな

 都会で働いたり、学生生活を送る子供が帰省するとわかった途端、故郷の家では掃除をしたり、部屋に風を入れたり、布団を干したり、好きな料理をたっぷりと用意したり……。久しぶりに帰ってくる子供を迎えるため、さまざまな用意をします。

 しかし、帰省子を待っているのは、家族だけではありません。その子が子供のころから愛用し、使い古した地球儀やギターも、久しぶりの主の帰省を待ちこがれているかのよう。主がいなくなり、時が止まってしまったかのようにひっそり静まり返った子供の部屋に、昔のような活気や息遣いが聞こえてくる日は、もうすぐそこまで来ています。

[季語] 帰省子
[季節] 夏


かぶと虫昔いぢめし男の子

 小学生のころは、夏休みになると、男の子も女の子も、決まってかぶと虫を捕りにいったものです。そのころの女の子というのは、背の高さも、腕力の強さも、同い年の男の子に比べると勝っていたりするもの。なんといっても、口の達者さでは断然女の子が勝っているため、遊びも勉強も主導権は女の子。中には、男の子を泣かせてしまう女の子もたくさんいたものです。

 だけど、ちょっぴり意地悪をしたいような気持ちになるというのは、男の子たちをすでに異性として意識し始めた証拠なのかもしれません。

 遠い昔、私がいじめた男の子は、今ごろどんな男性に成長しているのかしら……?

[季語] かぶと虫
[季節] 夏


香水を一振り旅の終止符に

 女性にとって香水は、ただの化粧道具の一つではありません。パーティーやデートなど、華やかな場には少し甘い香りを、ビジネスシーンには柑橘(かんきつ)系やグリーンのフレッシュな香りを……と、シーンに合わせて香水を使い分けることで気分をリフレッシュさせることができるのです。また、その日選んだ香水に、自分でも気付かなかった心の内側が反映されていたり、香水が替わったことで恋の始まりに気付くことがあったり……。

 旅先に香水を持っていくというのも女心ならでは。楽しかった旅も今日で終わりという朝、お気に入りの香りをシュッと一噴き。旅の最後の一日がさらに楽しく、思い出深いものとなりますように……。

[季語] 香水
[季節] 夏




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