|
[English]
乗り継いで乗り継いで来し聖夜かな
バスに乗り、電車に乗り、飛行機に乗り……。たくさんの乗物を乗り継いで訪れた、恋人が待つ聖夜の街。いろいろな乗物を乗り継いでいるうちに、もうすぐ逢えるという喜びが、二人で過ごす聖夜への期待が、どんどん昂っていきます。
振り返ってみれば、喧嘩をしたり、猜疑心に苦しんだり、二人の間にはいくつもの試練がありました。今宵は、数々の試練を乗り越えた果てに二人で迎える聖夜です。
[季語] 聖夜
[季節] 冬
楽器屋に弦つまびくも十二月
12月には、他の月とは違う独特の空気感があります。年も押し迫った慌ただしさ、1年が終わってゆく寂しさ、新しい年を迎える華やかさ……。そんな12月のある日、ふと立ち寄った楽器屋で1本のギターを手にした少年を見かけました。買うのでしょうか。それとも、ずっと手に入れたいと思っている憧れのギターなのでしょうか?
手にしていたギターを、彼がポロンとつまびきました。外では物売りの賑やかな声。12月の緊張感の中に、静かなギターの音が響いてゆきます。その音に、ほんの一瞬、慌ただしい日常から離れたような気がしました。そして同時に、1本の弦から生まれ出た音に、今年もいよいよ終わりなのだという感慨がにわかに湧いてきたのです。
[季語] 十二月
[季節] 冬
冬薔薇自動ピアノの鳴り止まず
冬薔薇が美しく飾られたラウンジに、自動ピアノの演奏が流れ続けています。誰かが止めるまで、決して間違えることもなく、ひたすら美しいメロディーを奏で続ける自動ピアノ。そして、人間のために冬に咲くよう操作された冬薔薇。
共に、都会の冬を華やかに彩る美しい物たちですが、それはすべて人工的に演出されたもの。美しければ美しいほど、その裏に冷たさや寂しさ、そして切なさを感じてしまいます。それは、冬薔薇と自動ピアノに映し出された現代の都会の寂しさなのかもしれません。
[季語] 冬薔薇
[季節] 冬
年下のマフラー巻くのが下手なひと
普段は生意気なことばかり言っているのに、マフラーもうまく巻けない年下の恋人。だけど、不器用なところが逆にかわいいと思えるのが年下。ボタンをひとつかけ違えていたり、靴紐がほどけていたりしたときに、母性本能をくすぐられ、つい面倒を見てあげたくなってしまうのです。
“色気”とは普段との落差に感じてしまうもの。マフラーの巻き方に見つけた、まだまだ少年の彼。そんな意外な一面に、また少し惚れ直してしまうのです。
[季語] マフラー
[季節] 冬
|