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[English]
道あらば道を捉へて初日さす
「初日」とは、新年最初の朝に昇る太陽のこと。一日の始まりだけでなく、新しい年の始まりをも告げる初日は、たいへんすがすがしく、また神々しいものでもあります。
掲句の“道”とは、人や車が行き交う道路のことだけではなく、ときに夢や目標へ向かう道であったり、人生という道であったり、一筋の希望であったりもするでしょう。自分の夢や目標をしっかりと持ち、決してあきらめず歩み続ける人には、必ずそこに光がさし、その道を照らしてくれるものだと私は思うのです。
昨年私は、約900キロに及ぶスペインのサンティアゴ巡礼道を歩きました。その過程には困難も多く、あきらめようと思ったことも何度もあります。しかし、朝がくれば、必ず新しい太陽が私の進むべき道を照らし出してくれたのです。
2000年の幕開けです。人々が夢を、希望を持ち、あきらめず、信じ続けている限り、初日は必ずその道を明るく照らし出し、新しい未来を指し示してくれると私は信じています。
[季語] 初日
[季節] 新年
冬桜咲きはじめとも終りとも
寒さの中、一重の白く小さな花をけなげに咲かせる冬桜。
春のソメイヨシノのように華麗に咲き誇り、一気に散ってゆく華やかさはありませんが、かれんな花を長く楽しませてくれる花です。冬桜にももちろん花の盛りはあるのでしょうが、花期の長さゆえ、またそのはかなげな姿ゆえ、一体いつが花の盛りなのか、またそれが咲き初めなのか終わりなのかわからないものです。しかし、だからこそ長くたくましく咲き続けられるのかもしれない冬桜。華やかながらも花の命の短い春の桜、素朴ながら息長く咲き続ける冬桜。華やかさの裏にある脆さと、はかなさの裏にある強さ……。それは、人の生きる姿にも当てはまるような気がします。
[季語] 冬桜
[季節] 冬
白鳥を見知らぬ人と見てをりぬ
湖まで一人でふらりと散歩に出かけたときのことです。
水鳥の中に白鳥を見つけた私は、しばらく水辺にたたずみ、白鳥の優雅な泳ぎに目を奪われていました。ふと気が付くと、隣にも私と同じように白鳥を見ている人がいます。私たちはまったく知らない同士ながら、そのひとときは同じ白鳥に目を止め、おそらく同じ感動を胸に抱いていたのです。名前も知らず、会話を交わすでもなく、これきりもう二度と会うことはない人でしょう。美しい白鳥を介した一期一会。それは、とてもとてもはかない縁(えにし)ですが、確かにこのひととき、私たちはお互いの気配を身近に感じながら、同じ時間を共有していたのです。
[季語] 白鳥
[季節] 冬
毛糸編む子を宿すとはどんなこと
暖かな日のあたる縁側やベンチで妊婦さんが編み物をしている姿は、ほのぼのとしてとても優しい風景です。時々おなかに話しかけたりしながら、これから生まれてくる赤ちゃんのために小さな小さな靴下などを編んでいる姿は、女性の幸せのひとつの象徴的な姿のよう。
しかし、“子を宿す”という感覚は経験のない女性にはまったくわからないもの。自分のための毛糸を編んでいるとき、もしこれが生まれてくる赤ちゃんのための編み物だったら……と、ふと思い立ちました。おなかが重いとか、動きづらいとか、苦しいこともあるのでしょうが、きっとそれに余るほどの幸福感があるのでしょう。とはいえ、今はまだ想像でしかない、その時。いつか私にも、小さな小さな靴下を編む日が訪れるのでしょうか……?
[季語] 毛糸編む
[季節] 冬
ホットチョコ知らぬで通すまつりごと
とかく男性はまつりごと(政治)が大好き。時の首相が、政権が、派閥が、選挙が……と、ことあるごとに政治の話に花を咲かせています。その半面、大抵の若い女性はあまり政治には興味のないもの。多少関心はあっても、男性ほどには知識も意見も持っていないものです。
もちろん、まったく関心がないわけではないのですが、中途半端な知識で口を出し、小難しい議論に巻き込まれるのもちょっと面倒。とりあえず「知らない」ということにしておいて、傍観者を装っているのが一番楽チンなのでしょう。甘い甘いホットチョコを飲みながら、政治のことなんてわからないわ……と少しうそぶいている女の子です。
[季語] ホットチョコ
[季節] 冬
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