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[English]
寄せ合ひてとめる自転車けやき散る
オープンエアのカフェやハイセンスなブティック、かわいい雑貨屋などが並ぶ東京で最もおしゃれなストリート、原宿・表参道で見かけた風景です。
さわやかな秋晴れの日曜日、はらはらと散り続くけやき並木の下に、2台の自転車が止められていました。1台は男性用、もう1台は女性用。おそらく近くに住む若いご夫婦か恋人同士なのでしょう。買い物をしているのか、あるいはカフェでティータイムを過ごしているのか、自転車の主たちの姿はそこにはありません。しかし、身を寄せ合い、寄り添うようにして止められた自転車から、仲の良い2人の姿が見えてくるよう。しかも、自転車で原宿に訪れるくらいですから、きっとカジュアルでアクティブな、とてもすてきな2人なのでしょうね。
[季語] けやき散る
[季節] 秋
木枯や菓子の館に灯のともり
木枯らしの吹く夕暮れの街角を歩いていると、ショーウインドーにお菓子の家が飾られていました。そのお菓子の家にも、小さいながら人間が暮らす家と同じように灯りがともっています。家路を急ぐ人々は、小さな灯りのともったかわいいお菓子に家に一瞬足を止め、ロマンチックな気分になっているようです。
木枯らしが吹く寒い夕暮れは、一刻も早くあたたかな家に帰りたいと、だれもがみんな急ぎ足です。しかし、そんな人々の足をふと止めさせ、心をほっとあたたかくしてくれる小さな灯。お菓子の家の灯りにしばらく和んだ後は、だれもが自分の家の灯りを目指し、再び家路を急ぎ始めるのです。
[季語] 木枯
[季節] 冬
白鳥に祈りのごとき眠りくる
真っ白なその姿から、汚れのない崇高ささえ感じさせる白鳥たち。そんな白鳥が、目を閉じ、身を丸め、深く首を垂れて眠る姿は、まるで一心に神に祈りをささげているように見えます。
厳しい自然の中で動物たちが眠っている姿は、本当に神の掌(たなごころ)に包まれているようです。厳しい大自然を前に、素直にその厳しさを受け入れながら、強く懸命に、それでいて美しく優雅に生き抜いていく白鳥たち。わずかな羽だけで寒さから身を守り、祈るように眠る白鳥の姿を見ていると、白鳥自身もまた、自分たちは神の創造物であり、神の大きな慈愛の中で生かされているのだということを知っているように思えるのです。
[季語] 白鳥
[季節] 冬
機音はひと恋ふ音よしぐれ来る
バタン、シュー、バタン、シュー……。姿は見えませんが、どこからか機を織る音が聞こえてきます。
機織りは冬の間の女性の仕事だといわれます。遠く出稼ぎに行った夫や息子を待ちながら、あるいは将来を誓い合った恋人を待ちながら、一目一目布を織り上げていく女たち。その機音は、まるでいとしい人を恋うような、暖かな春を恋うような、とてももの寂しげな響きです。
女たちの織る機音に誘われるかのように、村に時雨が降り始めます。女たちの寂しさを一層募らせてゆくような冷たい時雨が、降ってはやみ、やんでは降り始めるのです。
[季語] しぐれ
[季節] 冬
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