|
[English]
贈られて贈つて冬のあたたかき
日本には“お歳暮”といって、一年間の感謝と来年もよろしくという意を込めて、年末に贈り物を贈り合う習慣があります。普段から親しくしている人へ、あるいはなかなか会えない遠くの人へ、今年は何を贈ろうか、どんなメッセージを添えようか……と、相手のことを思いながらあれこれ考える時間はとても楽しいものです。
また、贈られてきた包みを開け、そこに相手の真心や元気そうな顔が見えたような気がした瞬間は、本当にうれしいもの。届いた品物に近況報告が一筆添えてあったり、お礼の電話をかけ合ったり、お歳暮を通して人と人との交流が生まれることで心があたたかくなるように思えるのです。
これも、せっかく結べた人との縁を絶やさないための日本人の知恵なのでしょう。寒い冬のさなかに行われる、人と人とのあたたかなコミュニケーションです。
[季語] 冬あたたか
[季節] 冬
初雪のためらひもなき白さかな
その冬初めて降る雪、初めて目にする雪の白さは、これ以上汚れない白さがあるのかと思うほど美しく感じるものです。また、誰もまだその上を歩いていない、まったく汚れていない初雪のピュアな白さは、こちらが踏み入ることをためらってしまうようなまばゆい輝きさえ放っています。
しかし、白とはまたもっとも汚れやすい色であり、初雪もまた大概はあえなく解けてゆくはかないもの。それでも、その白さをありのままに晒し、降り積んでゆく初雪。初雪の白さには、これから汚れてゆくことも、解けて消えてゆくこともためらわない潔さを感じ、そしてその潔さが初雪の白さをさらに美しく人の目に映すように思えるのです。
[季語] 初雪
[季節] 冬
雪が降るいつかあなたとゐたベンチ
あの恋が終わり、どれほどの時間が流れたのでしょう。ある日、偶然通りかかったその場所で懐かしいベンチを見つけました。あの恋の日、恋人と一緒に座ったベンチです。その瞬間、ふっと楽しかった彼との日々が思い出されました。彼と交わしたたくさんの会話、果たせなかった約束、喧嘩したことも、仲直りしたことも……。
今はもう誰もいないベンチに、雪が降っています。まるで、私たちの恋を、思い出を葬ってゆくかのように、ただただ静かに降り積もってゆく真っ白な雪。
春になればこのベンチには、また多くの人々が座り、幸せな恋人たちがいつかの私たちのように愛をささやき合うのでしょう。いくつの恋を、いくつの別れを、このベンチは知っているのでしょうか。
[季語] 雪
[季節] 冬
雪女となりてあなたの住む街へ
遠距離恋愛、単身赴任、あるいは何か事情があって会うことができなかったり、叶わぬ恋の相手なのかもしれません。愛する人と離れた街に暮らしていると、たとえ恐ろしい雪女になってでも会いに行きたいと思うのが女心かもしれません。
雪女は民話や小説に出てくる幻想の女性。その美しさに誘われた男性を殺(あや)めてしまうという、恐ろしくも哀しい、情念の女性です。断ち切れない思慕や未練を抱えたまま、愛する人の住む街へ向かう女性。いっそひと思いにその命を奪ってでも自分のものにできたなら、ひとときも離れずに二人でいられるのなら……。
会いたいときにすぐ会えない二人の距離が、女心に狂気の火をつけるのです。
[季語] 雪女
[季節] 冬
|