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[English]
ほうたるの窓辺に寄れば君もよる
ある夜、窓の外に螢(ほたる)を見つけました。「あ、螢だわ……」。螢を見ようと私が窓辺に寄ると、一緒にいた恋人も同じ窓辺に近付いてきました。
螢は、わずか1週間ほどの恋をするために生まれ、死んでいきます。美しくも儚(はかな)い螢火は、螢が恋をしている証拠であり、そんなロマンチックな恋の螢を仲立ちにして、近付き、寄り添っている恋人たち。
お互いが愛しく、同じときに、同じものを、同じ気持ちで見たいと思う二人、そして、それができるひととき。さりげなくもしあわせな恋の一場面です。
[季語] ほうたる(螢)
[季節] 夏
紫陽花に佇んで胸濡らしけり
紫陽花(あじさい)を見つけ、その美しさにしばらく見入っていました。紫陽花はだいたい胸の高さほどに花をつけます。また、雨の時期に咲くため、小さな花のひとつひとつに雨滴をためていることがあるもの。
その時も紫陽花自身が雨のしずくをいっぱいためていたのでしょう。花にたたずんだ後、ふっと離れようとすると、自分の胸のあたりが紫陽花にたまっていた雨のしずくでしっとりと濡れていたのです。その濡れた胸を見て初めて、自分がそこにしばらくの間たたずんでいたという時間の流れに気付いた私。つまり、私は紫陽花の前で、自分の胸が濡れていることにも気付かず、しばらく物思いにふけってしまっていたのです。
[季語] 紫陽花
[季節] 夏
草笛や父に勝れる人知らず
多くの男性と出会い、知り合いますが、何かあるとすぐ父と比較してしまい、結局自分の父親のほうが優れているように思ってしまいます。別に、父親にあこがれているとか、ものすごく尊敬しているというわけでもないのですが、気が付くとどこかで父親と比較している自分……。
そういえば、私がまだ何もできない子供だったころ、父親が草笛を吹いてくれたりすると、「ワーすごい! 葉っぱを笛にしてしまって」なんて、とても驚いたものです。お父さんは何をやってもすごいんだ……という幼い日の感動が、大人になった今でも心のどこかに残っているからなのかもしれません。
だけど娘って、だれでもそういう部分をもっているものですよね。
[季語] 草笛
[季節] 夏
噴水に主役脇役ありにけり
噴水には、シャーっと勢いよく華やかに水を吹き上げている中心部分と、その周囲であまり目立たずしょぼしょぼしょぼ……と地味に水を出し続けている部分とがあります。どんなに華やかでも、中心部の噴水ひとつだけでは味気ないものですし、かといって周りの地味な噴水だけでもつまらないものです。
中心となって人の目を引きつける主役、そして、陰で主役を助け、引き立て、全体を味
わい深いものとする脇役。
すべてが主役でも、すべてが脇役でもいけません。主役と脇役の両方があり、それぞれ
がそれぞれの役割をきっちりと果たし、一体となる。そこで初めて、“美しい調和”が
生まれるのです。
[季語] 噴水
[季節] 夏
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