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[English]
貝がらの九月の雨を溜めてをり
春の海、夏の海、秋の海、冬の海…。季節により、海はさまざまに表情を変えますが、九月の海は、まだ完全に秋ではなく、しかし、すでに夏でもないという独特のさびしさを漂わせているものです。脱ぎ捨てられたビーチサンダルやたばこの空箱など、家族や恋人たちがそこでひと夏を楽しく過ごした“におい”のようなものがあちこちに残り、まだ夏のざわめきが聞こえてきそうな九月の浜辺。にぎやかな夏が過ぎ去った後なだけに、余計さびしさを感じるのかもしれません。
そんな九月の浜辺に雨が降っています。雨の浜辺には人影のひとつもなく、そこではただ貝殻が雨を溜めているだけ。まだ夏のほてりが残っているような九月のなまあたたかな雨。そして、夏が忘れていったかのような貝殻。しんと静まり返った浜辺で貝殻に溜まっていく雨が、夏の終わりを告げている風景の象徴のように感じました。
[季語] 九月
[季節] 秋
秋風のこんなところで抱き寄する
秋風が吹き初めたころのある日、恋人とデートをしていたときのことです。突然、彼にぱっと抱き寄せられました。みんなが見ているのに、こんなところで……?
予期していなかった出来事に、戸惑いと恥ずかしさを隠しきれない私。そして、同時にちょっぴりうれしい気分も……。彼にこんな積極的な一面があったことにも驚いてしまいました。 それはもしかすると、秋風が吹き始めたちょっぴりセンチメンタルな季節のしわざ。“ああ、もう秋になるんだな”とひと夏の恋を振り返ったとき、彼の中で不意に恋人へのいとおしさが募ったのかもしれません。
さわやかな秋風の吹く中でのワンシーン。人肌の恋しくなり始めた季節の出来事です。
[季語] 秋風
[季節] 秋
流星や恋人の名を艇につけ
外国語では“船”は女性名詞。例えば英語だと“she(彼女)”と呼ぶことになります。そのせいか、外国の船にはたいてい「クリスティーナ」とか「ステファニー」といった女性の名前が付けられています。
以前、あるマリーナで船の名前を読み歩いていると、「みねこ」といったふうのまるっきり日本名の船を見つけました。きっと奥さまか恋人の名前なのでしょう。自分の名前を船につけてもらえるなんて、女性としては最高の憧れです。名前には、オーナーの思いが託されているもの。よっぽど彼女のことを愛しているのだなと、羨ましくなったことがありました。
船溜りの上を、一筋の流星が流れました。愛しい恋人の名前が付けられた船と美しい流星。なんだかその船が、いっそうロマンティックに美しく見えたものです。
[季語] 流星
[季節] 秋
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