朱塗りの中華門にも気付かずにその一画に踏み込んでいた。別れたばかりのKの3年間の思い出は断片的によみがえり、その度に周囲の背景は、時計代わりにつけたテレビの映像のようになった。 気付いてみれば、元禄時代にも5000人の唐人が住んでいたというこの一画には、異国の雰囲気が染みついている。どこに産み付けられたとも知らずに殻を破る虫たちはこんな感覚を味わうのだろうか。
長崎の中華街は東西と南北に通りがクロスしている。赤や金の原色が目をひく