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《9》

 ろくろを回す悲しそうな女性……。背後から夫の亡霊が包み込むように抱く。映画「ゴースト」を見てからというもの、せつなくて妙にセクシーなイメージが頭から離れない。あのシーンを見ている間中、私はKに手を握られていた。三河内焼にひかれたのもそんな記憶があったからかもしれない。
 鳥のさえずり以外は何も聞こえない。土を触れる指先だけに気持ちがいく。いつの間にか空っぽの心。このままKのことを忘れられるかもしれない。思いでのろくろが私を自由にしてくれる気がした。

 佐世保市郊外で無心にろくろを回す。工房を使用させてもらい、指導してくれた中里実也(なかざと・さねや)さん(65)はこの道50年、同市の無形文化財でもある。

<撮影・金谷喜久>

 三河内(みかわち)焼 桃山期に朝鮮から渡来した陶工たちによって開かれたとされている。古くは平戸焼といわれた。今もなお九州南端の山あいの地に400年の伝統にはぐくまれた技が生き続けている。

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