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《11》

 Kが勤める広告代理店に近い公園でのことだった。同僚と思われる女性が彼のほおに手のひらを当てるのが見えた。彼の驚く顔が見たいばかりにアポなしで訪れた私は、逃げるように去った。7歳上の私は、つまらないことと分かっていても耐えられない。結局、その後のなじり合いは別離にまで発展した。昼下がりに口にしたワインのおかげで、頭の中で「あの公園のシーン」が8ミリフィルムのように回り始めた。船着き場の音が現実に呼び戻してくれなければ、しばらく”上映会”に苦しまされるところだった。

ハウステンボスのホテル1階テラス横には全長6キロの運河が流れ、中世のオランダの町並みを眺めながらクルージングが楽しめる

<撮影・金谷喜久>

黛まどか「長崎恋物語」メーンページ