【5】埼玉県南栗橋〜茨城県古河市〜野木町間々田
初蝶の越えたる川の光かな−ゆう

 【4月9日】今日は初めての姉妹2人旅です。空は快晴。午前中は、芭蕉が2日目に通ったという栗橋の関を目指して旧道を歩きました。陽ちゃんに教わってヨーデルなんて歌いながら……。

初蝶の越えたる川の光かな
埼玉と茨城を結ぶ利根川橋を背にする月刊ヘップバーンのメンバー、加島陽子さん

 地図によると、目指す栗橋関所跡は国道4号線の利根川橋のたもとにあるようです。そして、利根川をはさんで手前が埼玉県、向こう側が茨城県。この旅2回目の県境前に、芭蕉と同じように国越えができるんだ! とワクワクです。

 ところが、関所跡に到着したものの、関所の面影をしのぶものは1つとしてなく、橋へ続く道はごう音を立てるトラックの列。利根川の方へ目を移しても、はるか遠くに景色が広がるばかり。仕方ありません、ここは曾良の随行日記と想像力を駆使して、芭蕉さんの時代へタイムトリップです。

 当時は今のように利根川橋などない時代です。芭蕉一行はこの川を舟で渡ったのでしょう。この日は雨が降ったりやんだりを繰り返していたというから、渡しもさぞや大変だったろうと思います。

 曾良の随行日記によれば「此日栗橋ノ関所通ル。手形モ断モ不入」。この関所を通るにあたり、男性はフリーパスだったんですね!

 逆に、女性は関所の通過に制限があっとということ。ふと、まどか代表が以前話してくださった杉田久女の話を思い出しました。今からわずか半世紀前、当時の女性を縛っていたたくさんの枷(かせ)のせいで、その才能を発揮しきることなく生涯を閉じた悲運の女流俳人、久女。しかし、今の私たちは手形もなしに関を越えることができるどころか、こんなふうに自由に旅をしたり、女性同士で俳句を楽しんだりできるのです。

 関所跡を過ぎ、高い利根川橋の上から川を見下ろすと、春の風が吹き上げてきました。芭蕉が漂泊の思いにとらわれたのも、こんな風が吹いていたときだったのかもしれないと思ったのでした。

(ゆう)

 <同行者>加島陽子
 <歩行距離>17・6キロ
 <歩数>37360歩