![]() |
【9】栃木県今市市明神〜日光市 靴ひもをゆるめて座る春野かな−蓉子
【4月13日】 拝啓 まどか代表
出発は今市市明神。残雪の日光連山がよく見えるウォーキング日和です。歩き始めて間もなく、杉並木が続く旧例幣使街道へ出ました。杉落葉の道は、さくさくと気持ちがいいものです。 木漏日の続いて春落葉踏んで しおね 「森林浴しようよ!」。はしゃいで両手を広げた私たちの傍らを大型トラックがビュンと音を立てて通り過ぎて行きました。この街道は聞きしに勝る交通量です。 ちなみに、この杉並木は日光東照宮鎮座後、紀州熊野より寄進され、1648年に植樹されたものだとか。芭蕉がこの道を歩いた元禄2年(1689年)には、まだ若い並木だったはず。それから約300年、杉はたくましく育っているのに、その木陰は今や旅人が休息するためのものではないことが、とても残念です。 突然、前を歩いていたしおねさんがつまずきました。思わずくぼ地に身を寄せた私たちのすぐ脇を、相変わらず大型車が猛スピードで走っていきます。代表、サンチャゴ巡礼で最も多い死亡事故は、交通事故だそうですね。目的を果たそうとがむしゃらに急ぐことは禁物。旅の途中はいつも死と背中合わせであることを強く実感した一瞬です。 あらためて注意深く、ゆっくりと歩き始めた私たちに、またしても事件が! なんと、リュックに差していたはずのピンクののぼりがないのです。春風? それともあの猛スピードのダンプの仕業? がっくりした私たちを励ましてくれたのは、車道の脇にかれんに咲いた小さなすみれや菜の花でした。 そして、ようやく念願の日光へゴールイン! 「私たちでも歩けたね! 何歩、歩いてる?」。すっかり自信満々の私たちが万歩計を見ると……。あれっ? 万歩計にはエラーマークが……。私たち、やっぱり珍道中コンビだったのでしょうか?
(伊沢蓉子=月刊ヘップバーン)
<同行者>須真しおね |