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03年オレを見てくれ
坪井智哉
1球1球、真剣な表情でティー打撃を行う坪井

  【日本ハム】  坪井智哉(外野手)

 阪神から日本ハムに移籍した坪井智哉外野手(28)が、新天地での再起に燃えている。最近2年は故障で満足のいく働きができず、昨オフ5年間所属した阪神から放出された。ショックを受けたが、プロとしての反骨心に火がついた。日本ハムが出血覚悟のトレードで獲得しただけに、外野の定位置確保はもちろん、チームを引っ張る1番打者としての活躍が望まれている。自分のため、そしてチームのため。坪井の新しいチャレンジが始まっている。

  阪神放出…新天地で再起だ

 坪井の転機は突然やってきた。昨年11月初旬、思わぬ知らせが耳に届いた。

 坪井 トレードは最初にテレビで知ったんですよ。その日はゴルフだったんで、早起きしてて、それでテレビつけたら(自分のニュースを)やってた。それはまあ、今までにないショックを受けましたね。ふざけんなっていうか、ええ加減にせえよっていう気持ちは正直あったんですけど。その後、すごい仲のいい人とゴルフに行ったんですけど、まあ全然面白くないゴルフでしたよ。

 阪神で華々しいデビューを飾ったのは98年。打率3割2分7厘を記録し、2リーグ分裂以降の新人最高打率を更新した。だが最近2年間は故障もあり、急激に出場機会を減らしていた。屈辱の日々に追い打ちをかける「テレビ辞令」。無念さを再起へのエネルギーに変え、坪井はパ・リーグにやってきた。

 坪井 観客が少ないことはパ・リーグの選手に吹き込まれましたよね。大きめに覚悟はしてきたんで、ああ言ってた通りやなって。だいぶ雰囲気は違いますけど、僕はこういう方が好きですよ。

 気持ちの切り替えが済んだ今は、野球に集中できる環境が心地よくも感じられる。全体練習終了後のマシン、トス打撃は1時間以上に及ぶこともある。

 坪井 僕らはやっぱりプロの野球選手ですから。ファンがいるいないとか、球場が広い狭いとか、風が吹いてるとか、そういうのでプレーを変えるようじゃ、やっぱり一流とは言えない。どんな状況においても自分のプレーができるようにしないとっていうのは、すごい意識してやってます。

坪井の年度別成績
所属 試合 打数 安打 本塁打 打点 打率
98 阪神 123 413 135 2 21 .327
99 134 530 161 5 43 .304
00 128 489 133 4 32 .272
01 43 128 28 2 11 .219
02 24 68 17 1 6 .250
  452 1628 474 14 113 .291
 ユニホームが変わって気づくこともある。何でも注目される立場から少し離れて自分を冷静に見つめられるようにもなった。

 坪井 阪神の時は、僕らは恵まれすぎました。弱くてもすごい応援してくれるし、あぐらをかいてた部分も正直ありましたね。全然活躍してない選手でも新聞やテレビで騒がれるし、勘違いする選手も多いと思います。その点、日本ハムの若手はハングリーですよ。試合に出たい、目立ちたいっていうのがすごいありますから。

 周囲は98年のような活躍を期待する。だが坪井は、それを「取り戻す」のではなく「乗り越える」ことだけを考えている。

 坪井 あの時は、それなりに誇れる数字だなと思いましたよ。でもその時はその時ですね。1年目を追って野球するなんていうナンセンスなことはしたくない。常に上を向いて、前を見ていきたい。もっとこう、理想のバッティングであったり、理想のプレーがあると信じてますから。同じ数字だったら、僕は多分いやだろうなと思いますよ。

 「あの時」を越えなければ満足はできない。越えるには、やはり「あの時」に成し遂げていないことをやるしかない。

 坪井 やっぱこのチームで優勝したいって思います。阪神ファンにはいい思いさせられなかったですから。このチームで、このメンバーで、この監督で優勝したい。その中で自分が球場にいるっていうのが目標です。坪井は第2のスタートを切った。その姿には「復活」よりも「挑戦」という言葉が似合う。
【構成・大塚仁/撮影・宇治久裕】

坪井智哉(つぼい・ともちか)1974年(昭和49年)2月19日生まれ、東京都出身。PL学園から青学大、東芝を経て97年ドラフト4位で阪神入り。プロ1年目から2年連続で打率3割以上を記録。5年目の昨季は、5月に左拒骨(きょこつ)骨折で戦列を離れ出場24試合に終わった。昨オフ野口(現阪神)とのトレードで日本ハム入り。家族は、晴代夫人(29)。177センチ、79キロ。左投げ左打ち。背番号7。




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