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03年オレを見てくれ
金本
合流後、さっそく打ち込む金本

  【阪神】  金本知憲(外野手)

 「引退」を懸けてフル出場−。広島からFA移籍した阪神金本知憲外野手(34)は現役最長の472試合フルイニング出場を続けている。猛虎打線復活へ不動の4番としても期待される鉄人が、キャンプ早々に故障でリタイア。環境の変化によるオーバーペースが原因だったと告白した。だが、金本は逆に連続試合出場記録の継続にいっそうの意欲を燃やし「フル出場記録が止まった時は、引退への第1歩」とまで口にした。

  鉄人のこだわり フル出場

 衝撃的ですらあった。鉄人がパンクした。金本が10日に右ふくらはぎを痛めた。現在も別メニュー調整を強いられている。キャンプ中に下半身を故障してリタイアした経験は、金本の記憶にない。

 金本 無理しているつもりはなかったんだよ。無理しないように自分に言い聞かせていた。だけど、振り返れば、無理しとったんだろうねえ。

 FA移籍した新主砲には期待や注目が集まる。しかも、人気球団の阪神。知らず知らずにオーバーペースに陥っていた。

 金本 広島時代にケガしても、焦ることはなかった。自分で考えて調整できた。だけど、初めての足のケガでもあるし、阪神では(対処法が)まだ分からんから。来たばっかりでサボってる、って見られるのもイヤやしね。自然に気を使っていたんやろうなあ。

 環境の変化は、想像していた以上だった。

 金本 宿舎の風呂場でもサインを求められるしね(笑い)。マスコミからも、ちょっとしたことで、細かいくらいの取材を受ける。勘弁して欲しいという面はあるよ。だけど、自分で選んだんだから。やりやすいか、やりにくいかの答えは、今は出せない。要は結果。シーズンが終わって、いい成績を残せれば、すべてプラスに考えられる。

 今回の故障も、プラスに思える時がくるのか。その兆しはあるようだ。自分のペースを取り戻す冷却期間ともなった。

 金本 開幕までの日にちを考えた時に、ホッとしたんだよ。全然焦る必要はないんだなって。だから、大丈夫と思っても、キャンプ中はダッシュをしなくてもいいぐらいの気持ち。不安を抱えながらシーズンを戦いたくない。フルイニングもあるしね。

金本の年度別成績
試合 打数 安打

打点 盗塁 打率
92530000.000
93428917490.191
94902576917432.268
95104369101246714.274
96126423127277218.300
97133465140338213.301
9813349912621749.253
99135502147349410.293
00136496156309030.315
01140472148259319.314
0214054014829848.274
118441151179244708123.287
 99年7月から3シーズン以上もフルイニング出場を続けている。現役トップの現在472試合。松井がメジャーに移籍したことで、金本を追う存在は見当たらなくなった。

 金本 すごいこと? ウーン…。野球選手として、当然やるべきことだと思っているからね。グラウンドに立ってナンボ、だから。監督に「大丈夫かな」という不安を与えたくないというのもある。サラリーマンの世界でいうなら、有給休暇を取らずに皆勤賞。社長にすれば、そういう社員はありがたいでしょ?

 プロ野球記録の700試合にも、あと1シーズン半で並ぶ。

 金本 フルイニングを続けていると、息が詰まるようなつらさがあるよ。だけど、シーズンが終わった時、ものすごく充実感があるんよね。フルイニングはともかく、フル出場は絶対に続けたい。フル出場が途切れたら、引退への第1歩ということだよ。その時は新聞に書く? 書いてかまわんよ。でも、あくまで「第1歩」だからな(笑い)。

 実は昨季、不安がよぎった。原因不明の体の気だるさが抜けず、打撃も波に乗ることができなかった。

 金本 (酒が強い)オレが二日酔いになっとったもん。回復が遅かったんやろうね。だけど、オフに治療もして体調の不安はなくなった。酒も(翌日に)全く残らんようになったよ。

 技術面でも、故障までの打撃チェックで手応えを感じている。本拠地が広い甲子園に移る。本塁打を狙わずセンター返し中心の打撃スタイルを公言している。

 金本 「変える」というより「戻す」「修正する」という意識。センター返しといっても、強引にセンターに打つわけじゃない。去年はファウルになっていたインコースの球をライト線に落とすイメージ。移籍したことが、リセットするいい機会になった。

 もちろん、人気チームの4番を期待されるからといって人間・金本を変えるつもりはない。

 金本 同じチームにいても、監督が代われば野球が変わるわけだし、選手に求められるものも変わる。そういう切り替えは経験してきた。阪神にきたからといっても、何でも変えなくちゃいかんというもんでもないと思う。地方の人間が大都会に出てきた。でも、オレは“全国スター”になれんし、なろうという気も別にないしね。ずっと“田舎スター”でいくよ(笑い)。
【構成・井之川昇平/撮影・和賀正仁】

金本知憲(かねもと・ともあき)1968年(昭和43年)4月3日生まれ、広島市出身。広陵から東北福祉大を経て、91年ドラフト4位で広島入団。99年にサイクル安打。00年には打率3割1分5厘、30本塁打、30盗塁で史上7人目の「トリプル3」を達成した。ベストナイン3度選出。趣味は格闘技観戦。家族は裕美夫人(30)と1女。180センチ、85キロ。右投げ左打ち。昨年11月、広島からFA宣言し阪神と4年総額12億円(推定)で契約した。

連続フルイニング出場メモ 金本は99年7月21日から現役最多の472試合連続フルイニング出場中。460試合の松井がヤンキースへ入団したため現在200試合以上続けているのは金本だけ。プロ野球記録は57〜62年三宅秀(阪神)の700試合。




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