長嶋監督辞任 巨人終身名誉監督へ
ミスタープロ野球、巨人長嶋茂雄監督(65)が電撃的に辞任を発表した。28日、東京ドームホテルで会見し「2001年のシーズン終了をもって巨人の監督を退任いたします」と話した。新監督には原辰徳ヘッドコーチ(43)が就任。ヘッドコーチにOBの江川卓氏(46)を招へいする。長嶋監督は渡辺恒雄オーナー(75)から「終身名誉監督」に任命されたが、第一線からは完全に身を引く。プロ野球の象徴が、10月1日の阪神戦(甲子園)を最後に巨人のユニホームに永遠の別れを告げる。
ドラマチックな人生そのまま、世間をあっと言わせる引き際だった。午後4時30分、渡辺オーナー、原新監督と並び始まった記者会見で、長嶋監督は実にすがすがしい顔をしていた。「シーズンの終了をもって、巨人の監督を退任いたします。今の気持ちは、今日の天気のようにすかっと晴れ晴れしております」。21年前の80年、事実上の解任で第1次政権を閉じた時には「男のけじめ」と苦しそうに話した。その時とは声も表情も全く違っていた。ヤクルトに大差をつけられていた8月末、渡辺オーナーと会い、今季限りで辞意を表明した。その席で原ヘッドコーチの昇格を推薦した。
長嶋監督 この数年間、次の後継者にだれが適任かそのタイミングを計りながら、チームの指揮を執ってきた。原君をコーチとして呼んだ時点から後継者と考え、そのつもりでやってきた。この3年間、私と一心同体で指揮を執りながら、チームの編成を支え、素晴らしいコーチになった。そして後継者にバトンを渡す前に、戦力、バランスの良さ、指揮を執る際の体制固めをきちっとして渡したいと、常々思っていた。
2度目の監督に就任して以来、巨人の「構造改革」がテーマだった。選手を若返らせ、松井、高橋由ら「長嶋野球」にふさわしい打線をつくり上げた。投手陣の世代交代こそ、うまくいっていないが「理想のチームに近づいた」。残っていたのが、指導者の世代交代だった。
ただ、それだけではない。昨年、4年ぶりのリーグ優勝の後いったんはユニホームを脱ぐ決意を固めた。年々視力が落ち、ひざの痛みは慢性化。ストレスがたまると食も細くなる傾向が出始め、体力的に限界に近づいていた。亜希子夫人(58)の健康問題もあり、第一線から身を引くつもりだった。
が、渡辺オーナーの熱心な慰留に折れ、続投に至った。その時から「今年限り」と考え続けていた節がある。「優勝するしないは関係ない。優勝したら逆に退きがたい面があるから。身の処し方の結論は出ていましたから」。引き際について、かつてこう話した。「惜しまれながら身を引くことは男みょうりに尽きます」。辞任の背景に、スーパースターの美学があった。
渡辺オーナーは、長嶋監督のこれまでの功績に報いるため「終身名誉監督」に任命。巨人の経営母体である「株式会社よみうり」の常務取締役から専務取締役への昇格も同時に発表した。しかし、中身は「名誉職」で、巨人から1歩身を引いた場所から助言を行う。「アドバイスを求められたらもちろん協力しますが、内政干渉は控えないといけない。原新監督がやりにくいでしょうし、思い切ってやってもらいたいしね」。58年のプロ入り以来、日本の野球界は長嶋茂雄を中心に動いてきた。残り2試合、戦後最大の伝説が「最終章」を迎えようとしている。【沢田啓太郎】
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