――最後に――
センバツが終わりました。東京に帰るために、新大阪へ向かう電車。途中から“高槻北”と書かれた大きな野球バッグを持った球児クンたちが入ってきました。試合が終わったあとなのかな。ちょっと疲れた様子でした。もう、春季大会真っ最中なんだね。
優勝した報徳学園に緒戦で敗れた日大三は、春季東京都大会中です。甲子園で緒戦に破れ、1日休日をはさんでスタートした練習。そのとき、監督は選手たちに言ったそうです。
「夏までに、いい目標ができたじゃないか。打倒報徳学園で頑張ろう」報徳学園戦、最後のバッターになってしまった、佐藤竜一クン。3回戦の足立学園戦で2ランホームランを放つなど、大活躍。涙で甲子園をあとにした姿が心に残っていました。よかった。元気で頑張っているんだね。
こうして、各地区では夏に向けて、新たな戦いが始まっています。
実は、昨年の6月。私は「輝け甲子園の星」の夏季号の取材で、仙台育英へ取材に行きました。ちょうどその日は、練習試合と聞いていました。その相手が、報徳学園でした。仙台育英の取材の合間に選手に話しかけると、元気いっぱいの選手たち。「2年生にね、いいピッチャーがいるんです。大谷っていうんですけどねー。140km台の球をびゅんびゅん放る。スゴイっすよ〜」そう言った3年生たちの後ろで、大谷クンがニコニコ恥ずかしそうに笑っていたっけ。そして、「夏は、絶対に甲子園に行きますから!」そう約束してくれました。
|
|
これが、昨年夏に仙台で撮った写真。よーく見ると、優勝メンバーがたっくさん写っているヨ!
|
でも、夏は、準決勝で姫路工敗戦。その新聞記事を見て、「2年生中心のチームだもの。来年は絶対に会えるよね」そう思っていました。
そのチームが今年はセンバツ優勝。なんだか、他人事じゃないみたいで、ウレシかったです。
今、全国で地道に練習しているどこかのチームが、今年の夏、来年の春。この甲子園の大舞台で優勝を飾るんだよね。そのチャンスは、全国の球児クン。全員の手の中にあるのです。頑張ってください。甲子園は人間をひと回りもふた回りも大きくしてくれる。とってもすばらしいところです。それだけじゃあ、分からない? それなら、あなたが実際に来て、見て、プレーをして感じてください。絶対にそのすばらしさ。実感できるはずです。
今年、浦和学院から広島に入団した大竹寛選手が言っていました。
「やっぱり、3年で甲子園に行きたかったです。(2年で出場)あの甲子園は、高校野球でしか味わえないものです。プロになってから行く甲子園とはまた違いますよ…。天谷がうらやましいです」と、3年で春、夏連続甲子園出場を果たした天谷クンを見ながらそうつぶやきました。
昨年、平安のキャッチャーとして夏の甲子園出場を果たした池田樹彦クン。それまで無名の存在だった池田クンは、監督、コーチーと「甲子園で運命を変えるんだ」と意気込んでいました。そして、ベスト8進出。元気イッパイ、覇気のあるプレーと、2年生エース、高塚クンを守り立てる姿は、とても印象的でした。甲子園が終わり、学校に帰ると、監督室の電話が鳴りっぱなしだったそうです。全国の社会人、大学の野球チームからの誘いの電話でした。池田クンは、甲子園で自分の運命を変えた男です。
甲子園は、感動をくれるだけでなく、人生すら変えてくれます。きっと、それを目指している、あなたの「今」もどんどん成長し変わっているのだと思います。頑張ってくださいね。夏、会えることを楽しみにしています。
● ● ● ● ● ● ●
さて。昨年の春、夏に引き続き、インターネットで日記を連載させていただきました。今日まで読んでくださって、本当にありがとうございました。思うまま、気の向くまま。その日の気持ちをそのままつづりましたので、内容には多々、不明瞭な部分。乱文があったかと思います。最後に、この場を借りてお詫び申し上げます。
甲子園に集まってくる選手たち、学校、関係者。このたくさんの人々の心の中には、甲子園への熱い思いがあります。そのほんの一片でもいい。この場で紹介させていただけたら、と思っていましたが、一人ではちょっと限界がありました。紹介できなかった学校のみなさん。ごめんなさい。ぜひ、夏。またお話を聞かせてくださいね。私は、その日を楽しみにしています。
たくさんの選手が、「夏、またここにきます!」と約束して春の甲子園を去っていきました。夏に向け、新たなスタートを切った選手たち。約束、ちゃんと果たしてくださいね!夏の再会を楽しみにしています。そして…、夏の甲子園の舞台を目指して頑張っている全国の球児たち。夏、会えることを楽しみにしています。
春――甲子園がなかったら出会えなかった人たちへ。ありがとうございました。そして、このネットを通じて出会えることができた読者のみなさんへ。ありがとうございました。球児たちとの出会いの感動。ちょっとでも伝わってくれたら幸いです。そして…これからも、この春活躍した選手たち。そして、夏の甲子園ではまた新しい出会いを求めて。取材をしていけたらいいなぁと思っています。また、何かの機会に、そんな私の取材のこぼれ話、選手の素顔を、お話できたらうれしいです。
最後に、「甲子園」という舞台に感謝しながら、この春の日記を終えたいと思います。ここまで、読んでくださって、本当にどうもありがとうございました。
日刊スポーツ出版社
保坂 淑子
|