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俳優・杉良太郎(57)
杉良に届いた服役囚の手紙
【8月6日紙面より】
刑務官を激励 今年(平成14年)2月19日、横浜市港南区にある横浜刑務所を杉良太郎が視察した。濃紺の制服、胸には深紅のリボン。慰問歌手としてではなく「法務省名誉矯正監」としてである。 「敬礼」。総出で迎える職員たちの1人1人とあいさつを交わす。胸のポケットには6日前に3回目の更新を終えたばかりの法務省発行の身分証明書があるが、キャリアを積んだ杉に提示する必要はない。 まるでドラマでも見ているようなシーンだが、名誉矯正監としての1日はハードである。刑務所長から業務の報告を聞き所内視察。「検食」では刑務所の3回の食事の味付けやカロリーをチェック、服役囚の年齢構成に従って「もう少し甘味を増して欲しい」などとアドバイスする。刑務官と勤務内容などについて意見交換をすることもある。教戒師や保護司の表彰も大事な任務だ。 「頑張れよ!」 そして服役囚を前にしての「講話」。杉は自分の生い立ちや10代で始めた刑務所慰問などボランティア活動をテーマに、人のために生きることの大切さを語る。これまで24カ所で講話を行ってきたが「両親や家族の話に触れると、年老いた服役囚や女性は涙をポタポタ落としながら聞いている。必死におえつをこらえている姿を見ると、自分の目頭が熱くなってしまう。犯罪を悔い、家族に迷惑をかけてすまない、という気持ちが込み上げてくるのでしょう」。 杉には「人間はだれでも1歩間違えば刑務所に入る。だが、本当の極悪人はうまく逃げて、決して入ってこない」との持論がある。組織やボスのために罪をかぶって服役する者を意識しての話だが、若い人がうなずきながら涙するシーンは忘れられず、「社会復帰したら頑張れよ」と心から祈るという。 他人のために トップスターの座にある杉が、その一方でボランティア活動にかけているのは有名だ。これまで国連ユネスコ特使、ベトナム文化交流協会の設立、日本麻薬追放協会会長になり麻薬犬を寄贈、災害被災民の救援活動など幅広い。 「自分を犠牲にして家族のために尽くした母が、他人のために力を出せと教えてくれたのが福祉活動のスタート地点。自分が一人前にしてもらった社会に対しての務めだと思っています。その母も今年4月に亡くなる前に『お前は福祉のやりすぎだ』と心配していましたね」。 杉は中学時代の15歳のころ、通っていた歌謡学院の仲間と神戸刑務所、姫路少年刑務所などを慰問。芸能界に入ってからも慰問活動を長く続け、1日名誉刑務所長などの実績を評価され96年2月に全国でただ1人の「法務省名誉矯正監」に任命された。杉がアピールしたのではなく、政府筋から「しかるべきポストを引き受けてくれないか」と打診があり、活動内容を聞いて承諾した。 「刑務所を視察すると政治家や各界の知り合いがかなりいて、いろいろな人生ドラマを見させてもらっています」と語る。受刑囚からの更生を誓う手紙も、数千通になった。「一生懸命話してくれて感動した」「社会復帰して更生する。男の誓いを守ります」などとつづられた手紙は、都内の事務所にすべて保管してあるという。 役職報酬なし 名誉矯正監の報酬はないが、環境改善や再犯の防止のやりがいから、視察した内容は文書にして必ず報告している。もっとも、刑務所の現状は憂うばかり。「受刑者が増えているのに、その状況に刑務所や刑務官が対応できていない。特に外国人の犯罪が飛躍的に増加している今こそ、刑務所らしい刑務所が必要です」。杉サマの愛称で呼ばれる芸能人の顔はどこにもなかった。【小林秀夫】
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◆刑務官 刑務所、少年刑務所または拘置所などに配置され、被収容者の拘禁、事故防止などの警備、作業の監督や日常生活の指導監督、施設の管理などを行う。毎秋に試験を行い、合格・採用後、約8カ月間、法規や教育心理学、護身術、体育などの実科と、実務研修を受ける。受験資格は実務Aが4月1日の時点で17歳以上29歳未満の男子、実務Bが同年齢の女子。年齢幅が広く倍率は15倍前後と高く、男女合わせて約500人程度採用の見込み。問い合わせ先は人事院の各地方事務局などで関東事務局は(電話)048・740・2006。
刑務官と刑務所は、全国をブロックごとに分けた矯正管区の下にあり、そのトップが「矯正監」。以下「矯正長」「看守長」「看守」など7階級ある。「矯正監」は全国で19人おり、刑務所長の兼務もある。全国で刑務所および少年刑務所は67庁、拘置所は7庁設置されている。この他に刑務支所が5庁、拘置支所が110庁ある。刑務官を含めた職員数は1万7017人(5日時点)という。
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