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<第5回>岡野俊一郎日本サッカー協会会長 トップの胸の内2
日本サッカー協会の岡野俊一郎会長(69)が、1年半後に迫った2002年W杯への思いを、さまざまな角度から語った。協会トップとして、サッカー人として、その胸の内を4回にわたって紹介する。第2回は「競技場の地域活用を」。
W杯の開催はサッカー界だけではなく、日本のスポーツ界、社会にとっても大きな意義があると思うのです。それは、2つの面でいえます。 1つはソフト。外国から大勢の人が来日する。そこで数々の交流が生まれる。多くの国のスポーツの中心はサッカーです。その国の人々がどういう環境でサッカーに親しんでいるのか。その情報を得ることで、日本のスポーツ界も大きな刺激を受けるはずです。 もう1つはハードです。なぜ10もの自治体に多大な財政負担を強いてW杯を開催してもらうのか。それは各競技場に地域のコミュニティーセンターになってほしいと考えたからです。だから、協会の人たちの批判も受けましたが私は「施設がなければ、サッカー専用でなくても結構です」と主張したんです。大会後に各地域のスポーツセンターにと考えたからです。 日本ではスポーツと生活が密着していない。最大の原因は施設がないことにあります。だから10自治体の素晴らしい競技場を、大会後にも地域の人たちのために生かしてほしい。「W杯をやってよかったじゃないか」「サッカーの大会だけど地域のスポーツにとっても大きな遺産を残してくれたよ」と人々が言うようになることが大事なんです。 21世紀に日本が必要とするのはスポーツ教育だと私は考えています。今までは学校教育、社会教育、家庭教育という3本の柱で教育を支えてきた。特に現在は学校の比重が大きい。しかし、学校の負担分はスポーツが肩代わりできると思うのです。子供たちの健康な体づくりに役立つ。同時に仲間と一緒に生きる心というものを教えられる。そういう方面に競技場を活用してほしいのです。W杯が日本教育にも大きな変革をもたらす、ひとつのきっかけになると思うんです。
オーバーな言い方ですけど、長い目で見ればW杯開催は30兆円を超える医療費の削減にもつながるはずです。老いは足腰からくる。脳細胞には手足の刺激が直接いく。だから高齢化社会を迎えるにあたり、中高年の人がスポーツを生活の中で正しくやっていくことが重要になる。健やかに老いを迎えられれば、医療費も削減できるんです。競技場を造ったときに「何百億も投資して回収できるのか」「維持費にいくらかかるのか」という声が出てくる。しかし、もっと長期スパンでスポーツを理解してほしいんです。教育と同じです。成果が出るのは20年、25年後。すぐに結果を求めるのではなく、長い目で見てほしいのです。 だから、2002W杯を一過性のもので終わらせたくない。単なるイベントで終わらせてはいけないと思うのです。開催の効果をスポーツ界、社会全体に波及させたい。それがW杯を開催する私たちの目標であり責任でもあるのです。(構成=首藤正徳)
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