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【バックナンバ ー】

<264回>夢舞台を待つ選手たち/広島FW久保竜彦

未完のストライカー「その気」になる

 どの位置からでも、どんな体勢からでもゴールを狙う…、それがストライカーの条件だとしたら、広島のFW久保竜彦(25)こそ真のストライカーだといえるかもしれない。鋭い瞬発力と並外れたジャンプ力、常にゴールへ向かって行く姿勢は、獲物を狙って疾走する肉食動物を思わせる。

 久保は福岡の筑陽学園で攻撃的MFを務めていた。決して強豪とはいえないチームだったが、広島の練習に参加した際に当時の首脳陣の目に留まり入団。1年目の夏にFWに転向し、2年目からトップに定着した。前回の欧州遠征こそ右足首痛で招集されなかったが、98年に初めて代表に選出されて以来、国際Aマッチ7試合に出場している。

 しかし意外なことに代表ではいまだにノーゴール。その大きな原因は「欲のなさ」と「コミュニケーション不足」だ。代表に関して聞かれると「選ばれたら断る理由がないから行く」と常に淡泊に答えてきた。

 MFとして、FWを「使う」ことに慣れてきた。人見知りの激しい性格でも、パスを出す立場なら困らない。自分の思い通りに試合を動かすことができる。しかし、FWは「使われる」もの。チームに溶け込み、ボールが回ってこなければ仕事ができない。抜群の身体能力を持っていても、それを生かすことができなくなる。宝の持ち腐れになってしまう。

 だが、最近は微妙な変化が起きつつある。「どうせ(代表に)選ばれるのなら試合に出たい」と積極的な言葉も口にするようになった。動物的ともいえる身体能力の高さは、だれもが認めるところ。「欲のなさ」がなくなって「コミュニケーション不足」が解消されれば、その能力が生きる。未完のストライカーが「その気」になったとき、大輪の花が開く。【中上博】

 ◆久保竜彦(くぼ・たつひこ)1976年(昭和51年)6月18日生まれ。福岡県出身。筑陽学園から95年に広島入団。故障で2度にわたるブランクがありながら、98年から4年連続で2ケタ得点を記録。98年10月のエジプト戦で代表デビュー。以来国際Aマッチは7試合出場。181センチ、74キロ。血液型A。家族は佳奈子夫人と1女。


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