ニッカンスポーツ・コムへ
インデックスサッカーTOP

【バックナンバ ー】

<272回>夢舞台を待つ選手たち/福岡FW山下芳輝

背後に「アンテナ」抜群の反転力

 DFを背に抱えたままボールを受け、一瞬で反転する。山下の最大の武器は、ゴールへ向かうスピードだ。「ゴール前の動きが冷静で、少しの動きにすごさがある」と、元横浜Mのディアスを目標の選手に挙げたことがある。瞬間的スピードで勝負をつける、これが山下のFW像だ。

 香椎三中時代から反転速度は際立っていた。東福岡の志波芳則監督(51)も特別な指導はしなかった。ただ「いつもフリー練習で残って30分ほど黙々とやっていた」と言う。マークするDFの体の一部を片手で触り、位置を確認、半身の状態から相手のいない方向へ振り向く−、これをひたすら反復した。一瞬のボディータッチで敵の体勢までを知る。「体に染み込ませたんでしょう」と志波監督。背後を知る「アンテナ」を磨き、1年から強豪校のレギュラーの座をつかんだ。

 プロでも通用するレベルであることは、96年の福岡入団直後に証明された。シドニーでの春季キャンプで、日本代表との練習試合に出場。山下を見た当時の加茂周代表監督は「DFラインを突破するスピードがすごい。前を向いて仕事ができるタイプだ」と驚いた。福岡の清水監督(当時)に、招集の可能性を告げたほどだった。

 初めてA代表に呼ばれたのは、それから5年たった今年5月。反転してDFラインを突破する「見せ場」はつくるが、周囲は得点力の低さを指摘した。チームでも6年目で27得点とスゴミはない。今回の代表候補合宿でも、山下は「みんなうまいので影響されました」とどこか遠慮がち。

 山下が「見せ場」をゴールへと変えたとき、日本代表にスゴミを備えたFWが加わることになる。【押谷謙爾】

 ◆山下芳輝(やました・よしてる)1977年(昭和52年)11月21日生まれ、福岡県出身。東福岡でプレーし3年連続選手権出場。96年に福岡入り。各世代で代表経験がある。シドニー五輪アジア予選を最後に、昨年4月の故障もあり代表から遠ざかっていたが今年5月に初めてA代表入り。家族は父秀逸さん(49)母八重子さん(50)兄宏拓さん(26)。177センチ、67キロ。AB型。


・nikkansports.comに掲載の記事・写真・カット等の転載を禁じます。
すべての著作権は日刊スポーツ新聞社に帰属します。
Copyright2001,Nikkan Sports News.